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2023年は「牧野富太郎」の年でした。著者別登場ランキング20人の60冊(新聞書評の研究2023)

はじめに

筆者は2017年11月にツイッターアカウント「新聞書評速報 汗牛充棟」を開設しました。全国紙5紙(読売、朝日、日経、毎日、産経=部数順)の書評に取り上げられた本を1冊ずつ、ひたすら呟いています。

https://twitter.com/syohyomachine

なんでそんなことを始めたのかは総論をご覧ください。


多くの書籍が紹介された著者

今回は、2023年に3冊以上の本が書評に掲載された著者と著書を紹介します。復刊や文庫化に際して書評が掲載されたものも含みます。

2019年~2022年のデータについては、以下でご覧になれます。

今年は突出した著者はいませんでしたが、3冊紹介された著者が20人にもなりました。

何といっても、「牧野富太郎著」があるのが目を惹きます。これは明らかに、NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の影響です。別冊太陽編集部の『牧野富太郎』も含めると、4冊になります。

また、歴史学者の平山優さんの3冊はいずれも家康もので、大河ドラマ「どうする家康」の関連と思われます。NHKの朝ドラや大河ドラマが新聞書評に与える影響は以下にまとめています。

ほかにも渋いメンバーがいます。2023年に生誕100年だった遠藤周作氏と、辻真先氏。辻真先さんは御年92歳なんですね。

3冊以上が紹介された20人の60冊

では、一冊ずつ紹介していきます。

グレー地

は版元による書籍の紹介文です。ご参考に。

牧野富太郎著

『随筆草木志』

「私は植物の愛人としてこの世に生れきたように感じます。あるいは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います」。日本における植物分類学の祖・牧野富太郎の最初のエッセイ集。
初刊は昭和十一年(一九三六)。牧野ならではの、軽妙洒脱な文体、気取らない表現、語り口で、植物の魅力を縦横に綴る。

『牧野富太郎と、山』

日本の植物学の父・牧野富太郎氏は植物を観察・採集するために日本各地の山々を訪れ、そのときの様子をエッセイに残した。幼少期の佐川の山での思い出を綴る「狐のヘダマ」、植 物を追い求めて危うく遭難しかけた「利尻山とその植物」、日本各地の高山植物の魅力を存分に語る「夢のように美しい高山植物」など山と植物にまつわる35のエッセイを選出。エ ッセイに登場する山のデータも収載し、牧野富太郎が登った山を訪ねるガイドとしても楽しめる。

『牧野富太郎選集1 植物と心中する男』

「植物の世界は研究すればするほど面白いことだらけです」。人生を植物研究に捧げた牧野富太郎博士。ユーモアたっぷりに植物のすべてを語りつくしたエッセイ集。1巻では自伝、信条を中心に博士の人柄がにじみ出た内容満載。

以下は牧野富太郎関連本です。2023年が彼の年ということがわかるかと思います。


別冊太陽編集部

『牧野富太郎』

ここにも富太郎本が!

『日本の家庭料理とレシピの一〇〇年』

『日本のブックデザイン一五〇年』


平山優著

『新説 家康と三方原合戦』

若き家康に絶体絶命の危機をもたらし、その後の戦国史を大きく転換させた三方原合戦。これほど著名でありながら、あらゆる情報が謎に包まれており、合戦場すら明確とは言い難い 。果たして、そこで何が起きていたのか。かの家康が大敗を喫したのはなぜか。大河ドラマ「どうする家康」の時代考証者が、家康最大のターニングポイントとなった合戦の真相と、 歴史的意義に迫る!

『徳川家康と武田勝頼』

家康の生涯における最強の宿敵・武田勝頼。ふたりの熾烈な対決は、実に9年にも及んだ。その間の幾多の合戦や陰謀、家族・家臣たちとの軋轢から起きた事件においては、最新研究 によって知られざる側面が次々と明らかになってきた。長篠合戦の勝敗を分けた「意外な要因」とは?家康の正室・築山殿と嫡男・信康の「死の真相」とは?勝頼を滅亡に追い込んだ 家康の「深慮遠謀な戦略」とは?本書では武田氏研究の第一人者が、家康と戦国最強軍団との死闘の真実に迫る!

『徳川家康と武田信玄』

桶狭間合戦を契機にした自立から今川攻め、亡国の危機に瀕した三河一向一揆、信玄駿河侵攻と三方原合戦の大敗ー若き家康が直面した「どうする?」の決断には、つねに大国武田と の攻防があった。両者はいつどのように互いの存在を意識し、なぜ手を結び、ついには手切れとなったのか。巷間いわれる「信玄にやられ続けた家康」像は果たして正しいのか。膨大 な史実と数少ない史料の「点と点」を繋ぎ合わせ、新たな歴史を立体的に浮かび上がらせる。


遠藤周作著

『フランスの街の夜』

見知らぬ土地の見知らぬ街を旅したことがありますか。フランス留学から帰国後、作家として歩みはじめた若き日々。瑞々しさにあふれた初期エッセイ、単行本初収録作品の数々!匿 名コラム、直筆漫画も収録。

『ほんとうの私を求めて』

社会や家庭でいつもマスクをかむっている自分ではなく、奥の奥にいる本当の自分を見てみませんか?まず自身の話から始め、ユーモラスな語り口で、私たちがどう自分と向き合い、 可能性を生かすか、さらに他人とどう付き合って、人生を豊かにしていけるかをやさしく説く。佐藤愛子さん、三浦朱門さんら文壇の仲間をはじめとする、幅広い交遊関係が語られる 後半も必読。極上な味わいのエッセイ集。

『人生を抱きしめる』

この世に生まれ、生きていく以上、人生を捨ててはいけない。生と死、善と悪を見据え続け、導き出された人間の真理。単行本初収録作品の数々!


辻 真先著

『たかが殺人じゃないか』

昭和24年、ミステリ作家志望の風早勝利は名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、1年だけの男女共学の高校生活。そんな夏休みに、勝利は湯谷温泉での密室殺人 と、嵐の夜に廃墟で起きた首切り殺人に巻き込まれる!自ら体験した戦後の混乱期と青春の日日を、著者がみずみずしく描き出す。『深夜の博覧会』に続く、“昭和ミステリ”シリーズ 第2弾、待望の文庫化。

『仮題・中学殺人事件【新装版】』

人気マンガ原作者が佐賀県で殺害された。二人の少女マンガ家に容疑がかけられるが、アリバイがあるという。容疑者二人にインタビューすることになった夕刊サンの記者・可能克郎 は、少女マンガに造詣の深い妹のキリコと牧薩次と共に彼女たちを訪ねたが…。名フレーズ「この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです」でミステリ史に燦然と輝く伝説的作品を、新装版で贈る。

『村でいちばんの首吊りの木』

手首を切断された女の死体を名古屋の下宿に残して長男が失踪。事件の第一発見者は、奥飛騨の寒村から長男を訪ねてきた母親だった。息子の無実を訴える母と、大学受験を控えた次 男との間で交わされる手紙が、やがて驚愕の真実を浮き彫りに…。著者ベスト級の呼び声高い表題作ほか、騙りの技巧を凝らした中編三本を収録。極上の本格ミステリ集!


島薗 進著

『これだけは知っておきたい 統一教会問題』

本来なら取締りを受けるはずの事態が長く見逃されてきたのはなぜか。日本人からの搾取を正当化するような教えを公言してきた外国に本拠のある宗教団体を、日本の政治家が積極的 に支持し、長期にわたって厚い協力関係を保つような事態がなぜ生じたのか。本書はこれらを「統一教会問題」として捉え、複雑な背景事情を探りつつ、解きほぐしていく。

『死生観を問う 万葉集から金子みすゞへ』

死を前にして心は乱れてしまうだろうか。宗教学、死生学の第一人者で、グリーフケア研究を担ってきた著者にとっても、加齢とともに死、喪失、別れは、切実さがます。本書は宗教 の教える死生観、詩歌や物語を手がかりに、現代から古代へ、古代から現代へと往還しながら、今を生きる私たちが自分なりに腑に落ちる死生観を問い直すための見取り図だ。歌人に して宗教民俗学者の折口信夫は「魂のふるさと」に注目して、古代人の死生観をさぐり小説『死者の書』へ、同時期に詩人の金子みすゞは喪失と祈り、死の彼方を童謡歌詞でうたった 。「無常」を知る系譜は、子どもの死に親の哀切な心があふれる一茶の『おらが春』、桜を通してはかない命をいとおしむ西行、死の瀬戸際を経験して安らぎを見いだした漱石の漢詩 へとたどる。「あなた自身の死生観」の手助けになる最良の一作。

『宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか』

「救い」を手がかりに、「宗教とは何か」を考えよう。キリスト教、仏教、イスラームの文明史をたどることで、宗教に内在する「救い」の実像が見えてくる!現代においても変わら ず求められる宗教の“核心”を学ぶ。


津村 記久子著

『うどん陣営の受難』

四年ごとに開かれる会社の代表選挙。一回目の投票は票が散らばったため、上位二名による決選投票が行われることに。現社長でもある藍井戸氏は手堅い保守層から支持を集め、対抗 馬の黄島氏は吸収合併した会社のプロパー社員のリストラ等過激なスローガンを掲げる。接戦が予想される中、両陣営共に動向を窺うのは、一回目で三位につけた緑山氏の支持者たち であった。うどんを愛する主人公たち緑山陣営へ迫ってくる運動員からの圧力、上司からの探り…。社内政治の面倒臭さをリアルにコミカルに描く。

『サキの忘れ物』

自分には何にも夢中になれるものがないー。高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短 篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役のゲームブ ックまで、かがやきに満ちた全九篇。

『水車小屋のネネ』

「家出ようと思うんだけど、一緒に来る?」身勝手な親から逃れ、姉妹で生きることに決めた理佐と律。ネネのいる水車小屋で番人として働き始める青年・聡。水車小屋に現れた中学 生・研司…人々が織りなす希望と再生の物語。


石田 夏穂著

『ケチる貴方』

「冷え性」と「脂肪吸引」。いま文学界が最も注目する才能が放つ身体性に根差した問題作!第44回野間文芸新人賞候補となった表題作と第38回大阪女性文芸賞受賞作を同時収録

『黄金比の縁』

顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶと「入社三年以内の退職率」が上がる。(株)Kエンジニアリングの新卒採用チームの小野は、自身が辿り着いた評価軸をもとに、業務に邁進す る。黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった…。

『我が手の太陽』

“お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりも馬鹿にしているというのに。”腕利きの溶接工が陥った突然スランプ。日に日に失われる職能と自負。異色の職人小 説。第169回芥川賞候補作。


山内 昌之著

『リーダーシップは歴史に学べ』

『中東国際関係史研究』や江戸通史『将軍の世紀』で知られる歴史家が、古代ローマの賢人や唐の皇帝、ルネサンスの文人、家康などの言葉や、ちょっと意外なエピソードを引きなが ら、ときには軽やかに、ときにはディープに、過去から同時代の出来事までを論じたエッセイ集。

『将軍の世紀 上下巻』

嘉永六年(一八五三)、米国東インド艦隊司令官マシュー・ペリーが率いる四隻の黒船が浦賀沖に現れた。十二代家慶の最晩年である。以来、国内は海防と将軍継嗣問題で揉め続ける 。騒動の中心にいたのは水戸徳川家当主・斉昭だった。声望ほどに実力が伴わない斉昭の言動に周囲は振り回され、その負の遺産が息子・慶喜の足を引っ張ることになる。関ヶ原から 二百六十七年目にしてついに政権は徳川家の手を離れた。

『歴史を知る読書』

頼山陽の『日本外史』は司馬遼太郎の小説に匹敵するほど面白い本である。一方で偏った読み方をされやすい一冊でもあり、例えば吉田松陰は弟子たちと本書を読む際、平和を築いた 徳川の功績を全く無視してしまった。古代ギリシアのプルタルコスが説く「ヘロドトスの悪意」の第三に当たると言えようー。歴史学の泰斗が歴史書を読む愉しみや落とし穴を語った 上で、青春時代最も感動した作品『留魂録』、美談や偽善では民主主義を守れないことを教える『ギリシア人の物語』、大きな時間枠でエネルギーを考える『エネルギーの人類史』な ど名著75冊を紹介。


斎藤 幸平著

『ゼロからの『資本論』』

はじめて『資本論』を開いた人は、あまりにその文章が硬いため、マルクスの真意を読み取れないー。この状況を一変させるのが本書だ。鋭いマルクス解釈で世界を驚かせた俊英が、 手稿研究で見出した「物質代謝」の観点から『資本論』のエッセンスを丁寧に解説。さらに、ソ連や中国とも異なる「脱成長コミュニズム」の未来像までを見通す。初学者にもスラス ラ読み進められる究極の入門書!

『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』

経済ってなんだ?社会ってなんだ?いつでも問い直すことが新たな知を産み、世界を変える。気鋭の研究者が日本全国をめぐり、体験し、考えた!斎藤幸平、現場で学ぶ。

『人新世の「資本論」』

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止 めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目 を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。


高殿 円著

『グランドシャトー』

高度経済成長期、義父との結婚を迫られたルーはキャバレー「グランドシャトー」のNo.1ホステス真珠の家に転がり込む。姉妹のように仲睦まじく暮らすも、莫大な金を稼ぎなが ら下町の長屋に居続ける真珠をルーは不審に思い過去を探るがー。“男の作った城”キャバレーが街と女の生き様を照らし出す、これは“ひかり”の物語。

『芦屋山手 お道具迎賓館』

神戸山芦屋のとある古い館で、本能寺の変で焼失したとされる名品「白天目茶碗」が掘り出された。ところが、白天目の付喪神である「シロさん」は、どうして自分が割れずに残った のか、自分自身の来歴さえ思い出せない。シロさんはなぜ芦屋に埋まっていたのか?本能寺の変の真相は?シロさんの持ち主である「先生」、茶道具を偏愛するアラブ人の「ほうっか むりさん」、そしておしゃべりで無邪気なお道具たち(※国宝級)が繰り広げる、異色の骨董ファンタジー!

『忘らるる物語』

辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をした環璃は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦帝国の次期皇帝を選ぶための籤、“皇后星”に選ばれたからだ。一族は皆殺し、 産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名 の戦士だった…。女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは?破格のエンタテインメント巨編!


金井 真紀著

『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った』

好奇心とスケッチブックをたずさえて、ことわざを拾い集める旅に出発!フィンランドでは、おばあちゃんが猫でテーブルを拭く?エチオピアでは、ヒョウのしっぽをつかむ?マレー シアでは、風を食べる?世界36言語の、心が喜ぶことわざ大公開。

『酒場學校の日々』

『日本に住んでる世界のひと』

一人ひとりの話を、のんびりじっくり聞いてきた。いろんな国から来た、隣人たちの生活物語。日本で暮らしている外国人は276万人余。そのほんのひとすくい、18組20人のス トーリー。


桐野 夏生著

『日没』

小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収 容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。足下に拡がるディストピアを描き日本を震撼させた衝 撃作、待望の文庫化!

『もっと悪い妻』

『真珠とダイヤモンド 上下』

1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。一人は短大卒の小島佳那、もう一人は高卒の伊東水矢子。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出ていく 夢を温めていた。野心を隠さず、なりふり構わずふるまう同期、望月昭平に見込まれた佳那は、ある出来事を契機に彼と結託し、マネーゲームの渦に身を投じていく。


久坂部 羊著

『砂の宮殿』

外科医の才所准一は、大阪で海外富裕層向けの自由診療クリニックを運営している。抗がん剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な3人の理 事とともに最先端のがん治療を提供し、順調に実績を重ねていたところ、久しぶりに訪ねてきた顧問が不審死を遂げる。これは病死か事故か、それともー。高額な治療費への批判も止 まず、クリニックに吹き荒れる逆風に、才所はどう立ち向かうのか。

『寿命が尽きる2年前』

2年後に死ぬとわかったら、あなたは何を思うでしょう。この時点で“いつまでも元気で長生き”という理想の選択肢は失くなります。だが、うろたえ、嘆き続けるわけにもいかない。 たった一度の人生を終えるのです。もっと大事なことがあるはずです。人はみな自分の寿命を生きる。そもそも寿命とは何か。戦後一貫して日本人の平均寿命は延びている。自分の寿 命はどこまで延ばせるか。「死を受け入れるのはむずかしい」と人は言うが、その達人はいるのか、楽な方法はあるのか。悔いなき人生をまっとうするには?

『人はどう老いるのか 医者はホントは知っている 楽な老い方 苦しむ老い方』

誰も書かなかった新しい「老い方」の教科書。誰もが初心者。大事なのは予習です。老いの現実を知る。医療への幻想を捨てる。健康情報に踊らされない。あきらめが幸せを生む。直 球勝負の老い方指南!


奥野 克巳著

『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』

ボルネオ島の森で、狩猟採集中心の暮らしを営む人々、プナン。彼らは借りたものを壊しても謝らず、礼も言わない。感謝や反省の概念がないのだ。所有感覚も希薄で、食料は皆で分 け合い、子どもも実子養子の区別なく育てられる。長年フィールドワークを続ける著者は、資本主義にとらわれないプナンとの生活の中で、人間の生の可能性を思考していくー。常識 をひっくり返す、刺激に満ちた一冊。

『はじめての人類学』

人類学100年のダイナミックな知的格闘を一望し、最前線まで一気に誘う、読み始めたら止まらない!入門書の決定版。

『人類学者K』

小屋が歩き、動物や虫たちが蠢く神話の森。鬱蒼としたそのジャングルを根城とする狩猟民のもとで調査を続ける「K」は、自分とは圧倒的に異なる価値観と生き方に魅せられ、その 世界にはまり込んでいくのだが…。


稲垣 栄洋著

『ナマケモノは、なぜ怠けるのか?』

ナメクジ、ダンゴムシ、モヤシ、イモムシ、雑草…。いつも脇役の、「つまらない」生き物たち。しかしそのつまらなさの裏に、冴え渡る生存戦略があった!ふしぎでかけがえのない、個性と進化の話。

『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』

雑草にとって大切なことはタネを残すこと。だとしたら、踏まれても立ち上がるって、ムダなエネルギーを使っていると思わない?『はずれ者が進化をつくる』『生き物の死にざま』 の著者が初めて「私(自分)」を題材に、ライフワークである雑草と、不器用な教え子たちとの日々をつづる、アンチ雑草魂エッセイ。

『生き物が老いるということ』

イネにとって老いはまさに米を実らせる、もっとも輝きを放つステージである。人間はどうして実りに目をむけず、いつまでも青々としていようとするのか。実は老いは生物が進化の 歴史の中で磨いてきた戦略なのだ。次世代へと命をつなぎながら、私たちの体は老いていくのである。人類はけっして強い生物ではないが、助け合い、そして年寄りの知恵を活かすこ とによって「長生き」を手に入れたのだ。老化という最強戦略の秘密に迫る。


一穂 ミチ著

『うたかたモザイク』

病める時も健やかなる時もーあなたの気持ちにぴったり寄り添ってくれる13の物語。甘くてスパイシーで苦くてしょっぱい、味わい深いあなただけの人生がここにある。

『スモールワールズ』

夫婦、親子、姉弟、先輩と後輩、知り合うはずのなかった他人ー書下しし掌編を加えた、七つの「小さな世界」。生きてゆくなかで抱える小さな喜び、もどかしさ、苛立ち、諦めや希
望を丹念に掬い集めて紡がれた物語が、読む者の心の揺らぎにも静かに寄り添ってゆく。吉川英治文学新人賞受賞、珠玉の短編集。

『光のとこにいてね』

運命に導かれ、運命に引き裂かれるひとつの愛に惑う二人の四半世紀の物語。


伊東 潤著

『デウスの城』

天下分け目の関ヶ原の戦いに西軍で参陣した小西行長の小姓・彦九郎と善大夫、そして肥後の地で守りにつく左平次。彼らは幼馴染の若きキリシタン侍だった。敗れて主家を失った三人はそれぞれ全く別の道を歩むことに。やがて、激しい弾圧と苛政に苦しむ島原・天草の民が、奇跡を起こす四郎という名の少年の下に起ち上がった。この地で、三人は立場を変え、敵同士となり再会を果たすことにー。魂震わせる大河巨篇!

『一睡の夢 家康と淀殿』

時は「大坂の陣」の数年前ー。いまだ盤石でない徳川幕府を案じる老齢の家康は、二代将軍である息子・秀忠を揺るぎない天下人にするための体制づくりを急いでいた。一方、豊臣家の威信凋落を肌身で感じる淀殿は、愛息・秀頼の復権に向けた効果的な打開策を見つけられず、焦操感を募らせていた。宿命と因縁に翻弄され、矜持と野心の狭間で揺れ動く二人は、やがて雌雄を決する最期の戦いに、それぞれ活路を開こうとするが…。己の「死」の先に見出そうとした「希望」とは何だったのか?まったく新しい「家康像」を描き出す感動の歴史ロマン!!

『浪華燃ゆ』

陽明学を究めた学者でもあり、大坂町奉行の敏腕与力でもあった大塩平八郎は、家族、門人たちをも巻き込んで、命を懸けた世直しに挑む。立場にあぐらをかき、豪商と結託して私腹を肥やす上役ども。立身出世に目がくらみ、悪事に立ち向かえない同僚、同輩。世のため人のためにならぬ御託ばかりを並べる学者たち。この男は、すべての不正を許さない!


ハインリヒ・プレティヒャ著

『中世への旅 都市と庶民』

中世後期、時代の担い手は騎士から市民へと交代している。本書では、市民・農民から最下層民まで、都市に住むさまざまな職業の人々とその暮らし、市民精神を、年代記などの記述や当時の木版画・細密画に見ていく。

『中世への旅 農民戦争と傭兵』

中世から近代への大転換期、騎士はすでに没落し、それに代わる存在が各種の傭兵であった。ロマンティックな歌の題材となった「ランツクネヒト」やヴァレンシュタインら著名な傭兵隊長たちと、彼らの舞台である農民戦争と三十年戦争を描く。

『中世への旅騎士と城』

城での生活、食物と衣服、日々の仕事と娯楽、合戦と攻城、十字軍遠征など、騎士文化最盛期のヨーロッパの騎士たちの日常生活を、豊富なエピソードを交えながら生き生きと描きだす。


イーヴリン・ウォー著

『つわものども』

第二次大戦を描いた最高の英国小説。カトリックの旧家出身の紳士ガイ・クラウチバックは結婚に失敗し、イタリアの別荘で隠遁生活を送っていたが、ナチス・ドイツの擡頭にヨーロッパ情勢が風雲急を告げると、今こそ大義に身を捧げる時とイギリスへ帰国する。やがて第二次世界大戦が勃発、ガイは入隊先を求めて運動するが、軍隊経験のない三十五歳の中年男を採用しようという隊はなかった。それでもなんとか伝手をたどって伝統ある連隊に見習士官として入隊し、アフリカ帰りのアプソープや年下の若者たちと共に訓練を受けることになるが…。戦争のメカニズムに巻き込まれた人々の滑稽でグロテスクな生態を、真面目な思索と辛辣な諷刺、時にスラプスティックな笑いのめまぐるしい交錯のうちに描いたイーヴリン・ウォーの名作“誉れの剣”三部作の第一巻。ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞作。本邦初訳。

『士官たちと紳士たち』

コマンド部隊結成からクレタ島攻防戦へ。ガイ・クラウチバックが戦地アフリカから戻ると、ロンドンはドイツ軍の空襲下にあった。新たに編成されたコマンド部隊に配属されて訓練地の島へ向かったガイは、元妻の二番目の夫トミー・ブラックハウス、王立矛槍兵団を追放された優さ男トリマーら旧知の面々と出会い、同僚アイヴァ・クレア大尉の紳士らしい超然とした態度に感銘をおぼえ親しくなる。やがて命令違反の処分もうやむやのまま旅団長に復帰したリッチー=フック准将の下、部隊はイギリスを出発し、ケープタウン経由でエジプトに到着するが、現地で合流するはずの旅団長は行方不明で、待機中の部隊の士気は下がるばかり。そしてついにガイの所属する隊にクレタ島攻防戦への出動命令が下った…。戦争の愚かしさ、恐ろしさとともに英国階級社会の変貌を描くイーヴリン・ウォー畢生の大作“誉れの剣”三部作第二巻。

『無条件降伏』

戦争の大義は何処へ、三部作最終章。激戦地クレタ島脱出から二年が経ち、ガイ・クラウチバック大尉はロンドンで無為な日々を送っていた。王立矛槍兵団の戦友たちが戦地へ向かうなか、もうすぐ四十歳という年齢を理由にひとり後に残されたガイは、開戦時に抱いた崇高な大義を見失いつつあった。一方、クレタ島でガイの命を救ったリュードヴィック曹長はいまや情報軍団少佐に昇進し、戦場で書きとめた覚書きに基づく『瞑想録』の出版を画策中。ガイの元妻ヴァージニアは予期せぬ妊娠に途方に暮れていた。ついに情報将校としてイタリア方面への派遣が決まったガイは落下傘降下訓練に参加するが、訓練中の負傷で療養生活を送るはめに。不運続きのガイの戦場は一体どこにあるのか…。自身の軍隊体験をもとに、戦争の醜悪かつ滑稽な現実と古き理想の崩壊を描くイーヴリン・ウォー最後の傑作“誉れの剣”三部作完結篇。


以上です。ここまで読まれた方、お疲れ様でした。


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