★2022年★全国紙5紙に選ばれた2冊(新聞書評の研究2022)
はじめに
筆者は2017年11月にツイッターアカウント「新聞書評速報 汗牛充棟」を開設しました。全国紙5紙(読売、朝日、日経、毎日、産経=部数順)の書評に取り上げられた本を1冊ずつ、ひたすら呟いています。
なんでそんなことを始めたのかは総論をご覧ください。
全紙に掲載された2タイトル
本稿で取り上げるのは、新聞掲載日ベースで2022年の書評データです。2020年以降に刊行された書籍を「新刊」と定めて対象にしています。既刊本の文庫化や復刊本、新訳版も新刊扱いしています。
同じことを書籍の属性から説明すると、2020年から2022年の間に刊行された新刊本のうち、2022年に各紙の書評面に掲載された書籍が対象となります。
毎日新聞のカバーデザインを紹介するコーナーや数紙にあるベストセラーランキングは対象外です。一方で、著者がインタビューで語る自著や、書評子ではなく、新聞記者が紹介する書籍は対象としています。
さて、2022年中に書評されたタイトル数は3158タイトルでした。このうち、2紙以上に取り上げられたのは21%、669タイトルでした。2019年~2021年を対象とした前記の分析でもこの比率は22%でしたので、どこかの書評に掲載された書籍の2割は他紙にも掲載されるとみていいようです。
さらに、この669タイトルのうち、3紙以上となると163タイトルとなり、さらにこの163タイトルのうち、4紙以上に取り上げられたのは35タイトルです。4紙以上に紹介される書籍は全体の1.1%にすぎません。
ちなみに2019年から2021年にかけて新聞掲載された書評を対象にした分析では、全国紙5紙のすべてに紹介された書籍は12タイトルでした。この12タイトルは、以下のページでご覧になれます。
3158タイトル中の2タイトル 0.06%の「狭き門」
そして、全5紙を”制覇”したのは2タイトル、四捨五入して全体の0.06%です。
『だまされ屋さん』
『ハレム』
小説と学術書がそれぞれ1タイトルです。
筆者は全紙に紹介された本は必ず読むことにしていて、そのうちの2021年以降のものについては、感想めいたものをアップしています。
このうち『だまされ屋さん』についてはこちらです。
『ハレム』についてはこちらです。
2019年以降の集計を加えると、全14タイトル中、小説が8タイトル、ノンフィクションが3タイトル(『サガレン』、『外国人人材』、『シェフ』)、人文系が3タイトル(『ハレム』『21 Lessons』、『ウェブスター』)。著者は男8人、女6人、翻訳本は2タイトルとなります。
出版社は中央公論新社と講談社です。これに2019年以降の集計を加えると、文藝春秋と河出書房新社が3タイトル、講談社が3タイトル、KADOKAWAが2タイトル、中央公論新社と左右社と筑摩書房が1タイトルとなります。
『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』
『天路』
『高瀬庄左衛門御留書』
『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』
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