一泊500円のボロ宿生活

ルワンダに来て3ヶ月が経った。その日から住む場所を変えて、もう一段生活水準を下げた。

最初の1ヶ月は日本人が経営するゲストハウス。次の2ヶ月は現地のゲストハウス。だんだんと生活レベルを下げていった。

日本人経営のゲストハウスは、WiFiもそこそこ使えるし、お湯のシャワーもある。洗濯も頼めばしてくれる。何より日本語が通じる。自炊もできる(ほぼしなかったが)

現地のゲストハウスは、WiFiはあるが動画は長時間見れないレベル。お湯のシャワーはなく、よく停電する。自炊はできる。洗濯は自分でする。

とまぁそんなレベルの生活を3ヶ月こなした結果、思っていた以上にお金がかかることに気づき、もっと節約する道はないか模索した結果、より生活水準を下げるという結論に至った。

レメラバスターミナルの近くにある一応ホテルに決めた。一泊600円程度のホテルなのだが、長期滞在する旨を伝えると一泊500円くらいに下げてくれた。

一応ホテルの設備を簡単に説明しておく。

WiFiもちろんなし。水シャワー二日に一回程度断水。キッチンはあるが土釜で薪を必要とする。トイレは桶から水をくんで流す。停電はよくある。

引っ越した初日は日本に帰りたくなったのをよく覚えている。初日の夜なかなか寝れず初めてホームシックになった。しかし、ありがたいことにホームシックになったのはこれが最初で最後だった。

寝ながら今後の生活を考えると不安になってきて、全身からびっしょり汗が出ていることになかなか気づかなかった。ふと気づくとベッドのシーツが自分の体の形に濡れていて驚いたほどだ。

しかしまぁ、人間とは慣れるというものすごい能力を持っている。特に問題なく二日目以降は生活できた。

一つひとつ振り返ってみよう。

WiFiがないことに関するインターネット環境からの孤立に関しては、まず第一にインターンシップ先のオフィスにWiFiがあるという大事な事実をおさえておいてもらいたい。そして、五千円の激安スマホとルワンダのSIMを買ったので一応連絡手段は宿にいてもあった。

シャワーに関しては、前の宿でも水シャワーに慣れていたので大丈夫であるがここで留意しておいてもらいたいことがある。ルワンダはじめ東アフリカ諸国は年がら年中激暑の蒸し地獄ではないということだ。

「アフリカ暑かった?」と何も知らないボンクラは帰国した私に質問するが、そんなことはない。暑い時期もあればそうでない時期もある。

私個人の話でいくと、長袖長ズボンで生活する時間の方が完全に長かった。

標高の影響もあるし、内陸であるために乾燥しているので例え暑くなろうが東京のような蒸し暑さにはならずカラッとしている。朝夕は冷える。従って、水シャワーを浴びるのも決して心地いいのもではない。

そのために私がしていたことはランニングである。私は毎日20分から30分のランニングをしていた。これは健康のためでもダイエットのためでもない。他ならぬ水シャワーを浴びるためである。汗を掻きシャワーを浴びるとまだましになる。

キッチンに関しては、土釜で火をいちいち起こしていても時間の無駄なので全て外食するという決断に至った。いや、明確に言うと朝飯と夜飯を食べないという決断に至ったというべきだ。

朝起きてインターンシップ先のオフィスに行き仕事をして、10時頃に毎回現地スタッフが近くの売店みたいなところに行くのでついて行って奢ってもらったり奢ったりしていた。それが朝飯と言えば朝飯になるが、スナックのような軽食のようなものなのでもちろん満腹にはならない。

昼飯はスタッフとビュッフェ形式のレストランで大量に食べるというのがいつもの日課。

しかし、十分な食事をとらず毎日水シャワーを浴びるために有酸素運動を繰り返していたわけだ。筋肉は落ちて、脂肪はそこまで減らず、体重は10キロ落ちた。たった3ヶ月で10キロ落ちた。

トイレに関することや停電に関することは、もう慣れるしか言いようがない。用を足したら桶から水を汲んで流せばいいし、桶に水がなければ水道から出せばいい。

停電はキガリに住む人間みんなに降りかかることなので心配することはない。私の出身地である北海道も胆振東部地震の影響で数日間全道で停電になったというニュースを両親から聞いたが、ルワンダに住む私には何一つ刺さらなかった。こちらで言う日常茶飯事のことをテンション高めで伝えてきたが返答に困っただけだ。

洗濯に関しては、もちろん洗濯機はないし手洗いになるのでほぼ毎日私は手洗いしていた。元来バックパッカーに憧れ、ルワンダにいると汚い服を着ることにも抵抗が薄くなる自分にとって大そうな洗剤も必要ない。自分の体も頭から足の先まで一つの石鹸を使っていたし、同じものを自分の服にも使っていた。

そんなこんなでこれまで書き記してきたことで生活は成り立っていた。これを実践すればだれでも人間らしい生活が営めるし、文化的な生活も保障されているといって過言ではない。

しかしこのボロ宿にきた当初、この宿がどのような場所か本当の意味を私は理解していなかった。

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