朱殷の凍傷

融ける舞姫

涙に溺れる
方舟は未だ来ない

反射光を嫌厭した透鏡
羽毛の刃渡りは私雨
もう怖くない
木立瑠璃草に成り代わる青月
夜しか居場所は無い

不知火だけが収まる絹枕
帰路は天色の五線譜

月下香の白刃よ
黒馬で攫って
月白も脱がせる黒橡

愚者火と轢音に蝋翼すら傅く
踊れ白羽踏み散らかして

見上げるのは満月だけ

雨薫る罪歌は厭世観を詩人にした

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