スパァン! 【アドベントカレンダー(198/365)】
早いものでクリスマスまであと167日を切った。
どこよりも早いアドベント企画、198日目は「華彩さんが進化した」話。
アオジタトカゲの華彩さんのケージを新しくしてから、2ヶ月くらい経った。
新しい家はガラスの引き戸式で、開けたり閉めたりをくりかえしている間に、華彩さんは外に出たくなるとガラス戸を頭でこするようになった。
どうやら「どうやらこの扉はスライド式らしい」という所までは把握しているようである。
「爬虫類にも、経験の記憶があるんだなぁ」
と、ちょっと感動。でも、扉があくところまでは至らなかったので、放置していた。
それから約一ヶ月後、フィットボクシングをしていた時のことである。
ガラス戸の死角で華彩さんがなんかやってんなと思いながら、腰をひねって左フックにいそしんでいたさなか。
「スパァン!」
「は!?!?!?」
華彩さんが、扉をこじ開けて外に出てきたでは無いか。しかも、手を使って開けたらしい。
めちゃくちゃびっくりした。
というのも、華彩さんの手は、上半身に対して真横についている。だから、彼女の視界では手の動きをとらえられないハズなのだ。
つまり華彩さんは、「端っこに爪引っ掛けたら開くかも」と仮説を立て、視界を切り捨てて、引き戸の先まで頭を突っ込んで、手探りでガラスのはしをつかんだのだ。
なんと高度な戦略。心の底から感心した。
しかし、それから数日後、華彩さんはまた頭でガラスを擦り始めた。
「なんだ、まぐれだったか」
そう思ってまたいつもの生活に戻ったら、こないだ寝てる時にまた「スパァン!」と音がした。
なんか、うれしくなって、その日はそのまま寝りにつくことにした。
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