アドベントエッセイ(107/365) パリパリスルン!
早いものでクリスマスまであと258日を切った。
どこよりも早いアドベント企画、107日目は、耳の話。
全社自宅勤務になってから3日目。食料を買いに行く時くらいしか外に出ない。外から入ってくる情報が少なくなったせいか、エッセイのネタになりそうな発見も少なったなぁ。
そんなことを考えながら傍らを見ると、アオジタトカゲの華彩さんがのそのそと歩いてきた。
彼女が歩いてきた跡には、カラカラにかわいた鱗の欠片が落ちている。脱皮の時期なのだ。
お腹をつまんで手のひらに載せると、体の色んな場所が部分的にハゲかけている。耳のあたりの皮も少し浮いていたので、何とはなしにつまんで引っ張ってみた。
パリパリパリ…スルン!
びっくりした。耳の奥から、小さい袋みたいな皮が出てきたのだ。
よく見ると、短い靴下みたいな形になっている。靴下のそこにあたる部分は、きっと鼓膜に隣接した皮なんだろう。
まさか、耳の中まで含めて脱皮の対象だったとは。
驚きと同時に、言葉にできない快感があった。何かがするんと抜ける瞬間って、鳥肌が立つほど気持ちいいのだ。
華彩さんは、平気な顔をしている。私は、恐る恐る反対側の耳ものぞいてみた。
「こっちも皮が浮いている」
もう片方の皮もちょいとつまみ、ゆっくり引っ張ってみた。
パリパリパリ…スルン!
うわ何これ、めっちゃくちゃ気持ちいい!!!!!
華彩さんに、こんなギミックがあったとは。
世の中、どこに新しい発見があるか、分からないもんである。
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