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パリコレに学ぶデザイン術

 みなさんはパリコレについてのニュースをご覧になったことはありますか?
 性器を丸出しにしているものや、さながらサイレントヒルの三角頭のような容姿、その他もろもろ、ファッションってなんだ・・・?と思わせられるような作品がしばしば登場します。

 通常の感覚では、「こんなものを着て外を歩けるわけないだろう」「現代アートか何かか?」「悪ふざけが過ぎる」という印象を抱くことでしょう。純粋にこの出展のみを見るとそのように感じると思います。

 しかし、このような奇抜な、異端な演出には大いなる意味があります。

 そもそも、衣服というものは、ある上着、トップス、ボトムス、etc...とある程度は形式が決まってしまっています。そこに新たな形、新たなアイデアを取り込むことは、並大抵の発想力ではなかなか実現できません。どうしても、既存の枠に収まってしまいます。
 
ならどうするか。スタート地点をブッ飛んだものにしてしまえばよいのです。

 よく漫画などでは「奇抜・奇想天外なアイデア力で課題を突破する」という描写がありますが、奇抜なアイデアだけで困難を突破できる場面などそうそうないと私は思います。

 発想力は大事ですが、残念ながら現実ももちろん見なければいけません。
 その点、パリコレは奇抜さだけではなく現実的な側面も兼ね揃えているのです

 パリコレのミソは、スタート地点をブッ飛んだものにすることが第一ですが、さらにそこに現実的な目線による洗練・収斂を施すのです。
 これが、既存のファッションからほんの少し違う、しかして既存のモノの発想の延長線上では決して実現しえないファッションを実現するためのアプローチなのです。

 重要な事なので繰り返しますが、既存のモノの延長線上で新しいアイデアを探ろうとすると、どうしても袋小路にはいってしまい、ドツボから抜け出せなくなることがありますある程度の前提条件を崩してから再出発する必要もありますが、この前提条件の崩壊が致命傷になることもあります。しかるべき答えに到達するためには、かなり根本に遡って前提を崩さなければなりませんが、それには当然リスクが伴うわけです。
 反面、最初の出発点を常識など無視した地点に構えて、現実にあわせてゆく修正はあとから行う方法をとれば、うまく現実にあわせたバージョンが完成した暁には本格的な運用に充分叶いながらもこれまでの枠にはまらないモノが出来るのです
 いうまでもなく、これはファッションに限らずなんにでも応用が利きます。

みなさんも、今度パリコレでの出展物をご覧になる時は、「これが現実の服装に洗練していくとどうなるのか」ということを、想像してみてください。


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