日本は優しいか?
去年、2023年6月に成立した出入国管理及び難民認定法(入管法)で「監理措置制度」や「3回以上難民申請をしている人の強制送還」「制止等の措置」が導入されました。
そして今年の入管法改正では「永住権の取消」が国会で審議され可決されようとしています。
安田菜津紀さんの『入管法はどう変わるのか(高橋済さんインタビュー)』を是非ご一読いただきたいと思います。
6月10日から施行される改正入管法には要注意です。
「制止等の措置」(改定入管法55条51Ⅱ)では、たとえば支援者など、収容されている人以外の人のことも、入管の職務執行を妨げていると判断した時、拘束できるとするものです。
これで、民主国家なのでしょうか?
「監理措置制度」は、入管の外に出てきた外国人に支援者を付けて外国人の行動を密告させようとする実に陰険な制度です。
日本の権力者たちは、どうも「大日本帝国」に憧憬してやまない人々の様です。
NHK朝ドラの『虎に翼』で描かれた男尊女卑的、マッチョな親爺的国家が理想なのでしょう。
現在審議中の入管法改正では「永住権の取消」が審議されていますが、これは、排外主義的、レイシズム(racism人種差別)的、身勝手な改正案です。
この入管法改正については、是非、以下の文章をご参照願います。
日本の権力者たちの「大日本帝国」への憧れ、マッチョな親爺価値への憧れは、彼らだけの問題ではなく、一般的な日本人も含めたものなのかもしれないと思います。
日本を旅行で訪れた台湾のアナウンサー、王軍凱さんの記事は、それ「ある、ある」と思いながら読みました。
日本の国際的・経済的な長期低落傾向をヒシヒシと感じ始めている日本人は、外国人、特に自分たちより劣ったと勝手に思い込んでいるアジア系外国人に対して苛立っているのだと思います。
念のため、以下に日本のポジションを確認しておきます。
日本は、名目GDP[1]は世界第4位です(2023年、GDPがドイツに抜かれ、世界4位に転落、もう少しでインドにも抜かれそうです)が、GDP第2位の中国は、既に、日本のGDPの約3.5倍もの規模になっています。
さらに、IMF(国際通貨基金)が公表している1人当たりGDP(2017年の物価水準で見た購買力平価<PPP[2]>)で、日本は2018年に韓国に追い抜かれた後、その差は拡大しているのです。
2023 年の購買力平価<PPP>の世界ランキングにおいて、アジアではシンガポールが世界第3 位、ブルネイが第12位、台湾が第13位、香港が第14位、マカオが第28位、韓国が30位で日本はなんと世界第36位、アジアで第7位です。
物価水準などを勘案すれば。すでに、アジアの中でも日本は決して豊かな国とはいえません。
経済的にも精神的にも貧しくなっていて、経済的、精神的なゆとりをなくした日本人はこれから、ますます狂暴化していくのではないかと心配です。
[1] GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)とは、国内の生産活動による商品・サービスの産出額から原材料などの中間投入額を控除した付加価値の総額。
[2] 購買力平価(PPP)purchasing power parity とは、ある国である価格で買える商品が他国ならいくらで買えるかを示す交換レート。各国の物価水準の差を修正し、より実質的な比較ができるとされている。