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北海道北斗市の社会福祉法人「侑愛会」に労基署の立ち入り調査

 北斗市にある社会福祉法人「侑愛会」は、道南で30以上の障害者支援施設を運営していますが、この「侑愛会」への労働基準監督署の立入調査で、複数のスタッフに対する時間外や休日労働の賃金未払いが指摘されたと報道されています。
 労基署の立入調査は、社会福祉法人の本部と障害者支援施設「ワークショップまるやま荘」の2か所で行われました。

 関係者によると、現場スタッフは以前から職場の労働環境改善を法人に要求しており、今年の春には複数のスタッフが不適切な勤務管理に耐えかねて退職し、現場を去ったとのことです。

 NHKが入手したという障害者支援施設「ワークショップまるやま荘」の現場職員たちが法人に対して実態を訴えようと、管理職から受けたやりとりなどを記したアンケートには次のような記載があるとのことです。

  • 時間外労働の申請も出来ず「ただ働き状態だ」

  • 休暇を申請したところ「死ね」と暴言を吐かれた

  • 「こいつは母子家庭で生活があるから簡単には辞めない」

  • (管理職が)「暴れている利用者を遠くから望遠鏡を使って笑いながら見ている」

 完全に管理職失格のような気がしますが・・・

 また、関係者によれば、侑愛会が運営する「まるやま荘」では、不適切な勤務管理やハラスメント行為により、今年の春には約25人の職員のうち3分の1が退職したとされています。
 さらに、この社会福祉法人「侑愛会」では、運営している複数の障害者支援施設で虐待が相次いでいるとし、去年、道の特別監査を受けています。

 11月22日、侑愛会は自らのホームページで今回のNHKの報道についてコメントしていますので、是非、こちらもご覧ください。

 要するに、「話せばわかる」ということらしいですが・・・
 
朱喜哲チュヒチョルさんは、社会には、さまざまな属性を軸として、それぞれの軸に「力」の勾配があり、それらの軸が交差する「インターセクショナリティ(交差性)」があるのだと指摘しています。
 組織である限りこの権力勾配が当然あるわけですが、この権力勾配を前提としてコミュニケーションの円滑化を図ることが大切ですね。個人的には、職員同士のコミュニケーションより管理監督者のコミットメントがより重要だと思います。

  蛇足になりますが、そもそも、このNHKの記事にある管理者とは何者なのでしょうかね?
  労基法でいう管理監督者(労基法41条2号)なのでしょうか?
  それとも、いわゆる「名ばかり管理者」なのかもしれませんね。
 「名ばかり管理者」であれば、自らも実態的には管理・監督されているわけで、労働者による労働者の権利侵害ということになりますね。
 組織の権限委譲と権限の執行状況の監督が大切かも知れません。

 いずれにしても、福祉・介護業界では労働者の権利についての意識は非常に低いと言わざるを得ません。障がい者や利用者のためにという錦の御旗の下で労働者の人権をないがしろにしやすいのです。
 また、管理者たちも労基法などの労働法に関して無知であることが多いと思います。労働者の権利に無関心では障がい者の権利を守れるわけがないと私は思うのですが、いかがでしょうか?


インターセクショナリティについては、以外をご参照ください。





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