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古川拓殖エクアドルの現地収奪

 日本企業がグローバルサウスを収奪し日本の人権無視体質を世界に知ら示しています。
 日本の繊維企業、古川拓殖エクアドルの元従業員たちは12月10日に会見を開き、同社の劣悪な生活環境と労働条件について語りました。また、エクアドル憲法裁判所は先週、従業員が奴隷のような状況で働かされていたと判断し、同社に対して、訴えを起こした342人にそれぞれ12万ドル(約1800万円)、総額約4100万ドル(約62億円)を支払うとともに、公開謝罪を行うよう命じました。

 2021年において、エクアドルの太平洋沿岸3州に広がる古川拓殖のアバカ高級繊維プランテーションは、約23,000ヘクタールに及んでいます。
 このアバカ繊維は有名ブランドバッグにも使われる高級素材で、このアバカ繊維で作られた籠やバッグは、繊維が強く、耐久性があって軽く、しかも耐水性があり、通気性も良いのだそうです。

 農業従事者によると、プランテーションは次のような悲惨な状況になっているようです。

  •  古川拓殖のプランテーションでは医療を受けられず、仕事中の事故で9人が亡くなった。

  •  友人の一人が切断事故に遭った時、私たちは大雨の中で働いていた。はらわたが煮えくり返る思いがした。

  •  友達が動物のように血を流しているのを目にしても、誰も何もしなかった。

 農業従事者のセグンド・オルドネス氏(59歳)さんは会見で、「私たちが直面していたのは、古川という名のモンスターであった」と述べました。
 

 アメリカの政治学者のナンシー・フレイザー(Nancy Fraser)は、資本主義体制においては、グローバルノース(Global North) の労働者は資本家に搾取されているが、この搾取構造の成立条件として、グローバルサウス(Global south)の労働者とその家族たちが収奪されていると指摘しています。

 ・・収奪のことである。被征服民やマイノリティの富を継続的に、強制的に奪い取る行為だ。収奪はたいてい、資本主義に特有の搾取というプロセスの対立物とみなされるが、搾取を成り立たせてる条件として捉え直したほうがいい。
 その理由は、搾取と収奪もただ方法が異なるだけで、どちらも蓄積(資本蓄積)に欠かせないからだ。
 
 ・・・収奪では、資本家はそのような慎ましさはかなぐり捨てて、ほとんど、あるいはまったく支払いもせずに他者の資産を暴力的に取り上げる。奪い取った、労働か土地、鉱物、エネルギーあるいはそのすべてを事業につぎ込んで生産費用を引き下げ、利潤の引き上げを狙う。

引用:ナンシー・フレイザー 2023「資本主義はわたしたちをなぜ幸せにしないのか」ちくま新書 p37

 グローバルサウスの収奪とグローバルノースの搾取は地続きだという認識はともて大切だと思います。

 アメリカの政治学者のナンシー・フレイザー(Nancy Fraser)さんの収奪と搾取の関係については、以下のnoteの『2.貪り喰らう資本主義』をご参照願います。


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