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社会福祉法人元理事長 北岡賢剛氏 の性加害訴訟一審判決(2024年10月24日)

 2024年10月24日、ある重要な裁判の一審判決がでました。

 「社会福祉法人グロー」(滋賀県)および「社会福祉法人愛成会」(東京都)の元職員・幹部職員が、当時グロー理事長で愛成会理事でもあった北岡賢剛きたおかけんごう氏とグローに対し、長年にわたる性暴力やハラスメントについての法的責任と損害賠償を求めて東京地裁に提訴していた裁判の判決です。
 一審判決(東京地裁)は、長年、北岡氏が行ってきた性加害やハラスメントの主要な部分はほぼ事実認定され、社会福祉法人グローの安全配慮義務違反が認定されました。北岡氏に220万円、「グロー」に440万円の支払いを命じるものでした。

 この裁判の詳細については佐藤慧さとうけい(フォトジャーナリスト/ライター)さんの以下の記事を是非お読み頂きたいと思います。
 この裁判で明らかになった「3年の消滅時効問題」や性暴力被害の「5つのフェイズ」、ハラスメントの撤廃に関する条約未批准問題、性加害の告発をスルーしてきた福祉業界及び行政の問題も丁寧に解説してくれています。
 私は特に性暴力被害の「5つのフェイズ」についてはとても勉強になりました。

 『未来政治塾』によると、この裁判の被告である北岡賢剛氏(66歳)は、社会福祉法人滋賀県社会福祉事業団理事長、社会福祉法人「オープンスペースれがーと」理事長ということらしいですが・・・障害者福祉では超有名人だったらしいです。

 同法人は滋賀県を拠点に障害者アート事業などを行ない、北岡氏は「障害者福祉のドン」「天皇」と呼ばれるほどの知名度だった。

引用:小川たまか「週刊金曜日」2023年12月22号

「週刊金曜日」⇒ 

https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2023/12/22/antena-1389/

 被告の社会福祉法人グローは、この判決を受けて以下のような「法人の見解等」を発表しています。

 北岡前理事長が訴訟において主張・供述した一定の行為には、法的判断とは別に、社会福祉法人の理事長としての自覚と責任を欠いた極めて不適切な行為が含まれていたと認識していることを表明いたします。

2024年10月28日

 また、北岡氏と関係のあったNPO法人抱樸(福岡県)も以下のような見解を発表しています。

 これまでの私たちの対応について、北岡氏の名前を記載しつづけたことなど、被害者が受けてきた加害、苦しみを矮小化していたと言わざるを得ません。被害者の方々に深くお詫び申し上げます。

 ジャニーズの事件と同様、超有名人、超有力者が加害者だと周囲の者たちも忖度してしまい被害者が孤立させられてしまいがちになりますが、福祉の世界も同じですね。
 ドンによるパワハラ、セクハラを許さないような社会になれば良いと思いますが、昨今の日本社会を観ていると無理かなと思ってしまいます。
 今の日本社会は「強きを助け弱きをくじく」です。

 「社会福祉法人役員による性暴力・ハラスメント裁判の原告を支える会」の次の指摘について福祉業界は真摯に受止める必要があると思います。

 社会福祉は、「人権」や「尊厳」を扱う専門性を持つ分野です。しかし、人権や尊厳を重んじる社会福祉業界では利用者には福祉的なケアの提供に努める一方で、職場で働く人に対する尊厳を軽んじる性暴力やハラスメントという深刻な問題も存在しています。

 性暴力やハラスメントを軽視し、ときに容認、黙認する男性を中心とした日本の社会形成が、社会福祉業界ですら深く根付いています。これは社会にある構造的な根深い問題であることを示しています。ハラスメントの行為者だけでなく、それを助長する周囲の環境や文化も許されてはなりません。

「ただふつうに働きたかった」
~ 社会福祉の現場で働く人の「尊厳」を守るために ~

 Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)を紹介しておきます。


 以下のnoteもご笑覧願います。

 


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