Pub Rock
「Pub Rock」といえばBrinsley Schwarz、David Edmunds、Kilburn & The High Roads、Ian Dury & The Blockheads、Dr. Feelgood、The Pirates、Graham Parker & Rumour、The Count Bishops、Lew Lewis Reformer、Eddie & the Hot Rods、The Inmates、Rockpile、Nine Below Zero、Elvis Costello、思いつくままに挙げてみましたがざっとこんな感じでしょうか。
70年代に入り肥大化していくロックバンドとは対称的にパブやキャパの小さなホールで演奏していたアーチスト達です。音楽的にはCountry、Rock、Blues、R&Bと様々ですが、シンプルな編成のバンドのサウンドが「Pub Rock」だと思います。60年代のブリティッシュビートと70年代のパンクを繋ぐミッシングリンク的な位置付けといっても過言ではないかと思います。
1996年頃だと思いますが、非常に印象に残っている出来事がありました。その頃、都内のCD、レコード屋から先に挙げたような「Pub Rock」のアーチストの作品が入手しにくくなったのです。
1990年代と言えば旧作のCD化が進み、再発盤がどんどんリリースされていました。ちょっとマイナーな音楽である「Pub Rock」も旧作がどんどんCD化されていました。ある時、それが軒並み店頭から姿を消したのです。
店に行っても「Pub Rock」のコーナーにはインデックスプレートしかありません。各アーチストのコーナーに行ってもDr. FeelgoodやThe Piratesなんかもインデックスプレートしかありません。
どこのお店に行っても同じような状態なので、お店の人に聞いてみました。返ってきた答えは「女子高生が買っていくんだよ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのファンの子達がね」
驚きました。まさか女子高生が買っているとは思いませんでした。時代はコギャル全盛の時代です。短いスカートにルーズソックスの女子高生が街にあふれていた時代です。みんな同じ格好をしていたし、休日でも女子高生であることを誇示するために制服で闊歩していました。
お店の人が女子高生と言うのだから、見るからに女子高生が買って行ったのではないでしょうか。その現場を見たわけではないですから断言はできませんが、コギャルが「Pub Rock」を買っていたのかもしれません。
そのほかに入手困難になっていたのが、ガレージパンクバンドのThee Headcoatsです。TMGEのTheeの表記の元になったバンドでしたから、店頭から姿を消していました。
嘘か誠か、都市伝説のような話ですがTMGEが影響力があったバンドである証拠だと思います。
何故、急に「Pub Rock」について書き綴っているのかと言うと、チバユウスケさんが11月27日に亡くなったと報じられました。Dig文化が根ざした1990年代とはいえ、女子高生に街中の「Pub Rock」買わせてしまう影響力のあるバンドはTMGEの他に僕は知りません。
僕は追悼文を書く主義ではありません。でもこのことを書き残しておきたいと思いました。
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