BEYOND2023 どこよりも早い現地レポート(トークセッション④)
2023年10月7日(土)に開催されるBEYOND2023に、Syncableから2名参加しております。気になったお話や登壇テーマを現地レポートします。
本記事はトークセッション④「社会課題のルールメイキング〜社会課題の産業化へ。これから日本で始まること。社会起業家の必要なアクションとは〜」のレポートです。
登壇者のご紹介
問い:社会起業家にとってルールメイキングに参画する意義とは?
岩間さん:ファーストペンギンになって市場を拡大できる機会になると思う。今当たり前じゃないものをこれから当たり前にしていくことで、人々にメリットを与えていく。そこからより良い暮らし、社会づくりになっていくと感じている。
本嶋さん:社会課題が複雑になっている中で、解決していく・実装していくにあたって、ステークホルダーを多角化させながら、信頼を積み上げていくことが大事だと思う。やりたがらないルールメイキングを行い、ステークホルダーを繋げていくことが事業の原動力になっていくと思う。
齋藤さん:ビジネスだと数字でわかりやすくできるが、公益性の高いものは難しい。でも、現場の声を聞いている人たちがいる。それを見えていない人たちに繋いで、共有していくことが大事。まだ持続可能なルールメイキングが実現できていないので、課題はありつつも、世の中を良くしていく手段であることが意義だと感じる。
阿座上さん:同じルールで同じインパクトで測るということは難しいと感じている。国や政策というよりも、まだ学びをシェアしていく段階。関わり方として、ルール・ディール・アピールの3つが大事だと思っている。
問い:どういう状態でルールメイキングに関わるのが良さそうか?
齋藤さん:若者・富裕層の価値観の変容がある中で、観光の領域だと、文化資源を活用して、新たな市場創出の可能性を感じている。
本嶋さん:あらゆるところにチャンスがある。変えやすいところだと、一つのテーマでやろうとすると、ニッチで共感を得られない。あなたもこの課題のステークホルダーなんですよと伝える事が大事。仲間集めが必要なときに、ルールであれば同意がとりやすい。イデオロギーや価値観が異なっていたとしても、ルールを活用すると相性がいい。
齋藤さん:社会課題の定義をフレーミング・リフレーミングすることで、イシューの捉え方を変えることで、アプローチできる切り口、範囲が変わってくると思う。
岩間さん:思いついたときにまずやってみるというのが大事だと思う。規制に引っかかりそうだと思ったときに、経産省が用意している制度を利用し、相談いただくのが良い。
問い:ルールメイキング進めていく上での属人化と時間軸のバランス
本嶋さん:利害関係が複雑な場合と、問題だと思われていない場合、解決策が見えていない場合のステップによって時間軸が変わっていく。
阿座上さん:2年に1回人事が起こるのが省庁の制度で、熱意ある担当者が変わってしまうのが、難しいところ。引き継ぎのタイミングで、
省庁のルールを理解している人が内部や近くにいないと厳しい。
岩間さん:法律つくる中で、1月通常国会、9月の臨時国会で決まっていく。政府のスケジュールがどう動いているかというのが「規制改革ガイダンス」に記載されているので、ぜひ見てほしい。
齋藤さん:属人的にはなってしまっているので、オープンにナレッジシェアできる状態をつくれるといいなと感じている。
問い:ルールメイキングにおけるつまずきポイント
山田さん:ステークホルダーが多くなりすぎると、いろんな政党を巻き込んでやっていくと、この議員に会った上で、上げないといけないというような動き方が難しい。
本嶋さん:法律を変えることで本当にうまく変わるのか?というところで、スタートの時点が間違っていることもある。ニーズを適当に上げてしまうと、議員から省庁へ進んでいくと、伝言ゲームで方向性が違うことになってしまう。そのため、スタートのタイミングでの伝え方を意識している。
問い:進めにくい社会課題をどう扱うか?
齋藤さん:既得権を持っている人たちはその既得権を脅かすプレイヤーを嫌がる。新市場創出のために、既得権益をもつステークホルダーとのコンフリクトをなくしていくことが大事である。
本嶋さん:省庁ごとに、同意・反発がある中で、別のアジェンダとセットで提言を行うことが大事
最後に一言
岩間さん:行政に対して、ヤキモキすることあるかもしれないが、社会課題解決を見据えて対応しているのは変わらないと思っているので、優先順位を変えるためには、行政と社会起業家のコミュニケーションが大事だと思っている。それぞれのステークホルダーの言語を翻訳する架け橋になることがプレイヤーが必要。
本嶋さん:ルールを変える、課題を解決するには無理をしないといけない。そこからもう少し無理をして、報われる状態をつくっていきたい。
齋藤さん:ルールメイキング大変そうというイメージがあると思うので、そのイメージを変えていきたい。ハードアセットだけじゃなく、ソフトの部分で、共感や持っているネットワーク、知恵、経験値からつくっていきたい。お金がない、人的リソースがない、ネットワークがないということであっても、共感をベースにつくりやすいとも思っている。そういう人たちとともにボトムアップのルールメイキングを実現していきたい。
阿座上さん:何か変えたいものがあったときに、1人のものからみんなのものに変えていくことがまず大事。事業側として、ルールを変えれば変わるのではなく、事業にまずフォーカスしていかないといけない。