流しそうめんのような(持続化給付金事業769億円の行方)

こんなニュースがありました。
「給付遅れるコロナ「持続化給付金」 769億円で受託した法人の不透明な実態」(東京新聞, 5/28)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/31661?rct=economics

記事の内容は、持続化給付金の申請受付等の業務を、経産省・中小企業庁が「一般社団法人 サービスデザイン推進協議会」(※)に769億円で委託し、同法人が電通等に749億円で再委託したというものです。

(※)この協議会は、「おもてなし規格」というあまり周知されていない(知ってました?)全国的な規格を運営するというミラクルな法人です。ちなみに文春が代表理事の笠原氏に法人の実態を聞いたところ、「電通の友人に頼まれて〜〜何も活動がない」とのこと。
https://bunshun.jp/articles/amp/38064?__twitter_impression=true&page=1&summary=hide

769億円 ー 749億円 = 20億円
なので、協議会に20億円の売上がたったことになります。
(20億円ってどんくらいだろうと思ったら、飲食店や服屋で見る「スマレジ」の2019年度の売上がだいたい20億円みたいです。ベンチャーですが、上場企業の年間売上と同じくらいと思うと大きいですね)

代表理事は「何も活動がない」と言っているので、何もしてないけど20億円もらったと言うことなのだと推測されます。
以前Twitterで話題になった「レンタルなんもしない人」では、「何もしないこと」のサービス料金が依頼1件当たり1万円みたいなので、協議会は経産省(ひいては私たち)に対して「何もしないこと」を20万回提供することで20億円を手に入れることになります。だいぶアクロバティックな事業です。

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上記の記事を受けて「サービスデザイン推進協議会」に興味を持ったのですが、設立にまつわる以下のような経緯があることが分かりました。
(基本的に次のNoteを参照して分かったことを記載してます。https://note.com/tokyodistillery/n/n6564a5ecf2a3)

2016/3/11:経産省「おもてなし規格認証に関する検討会」最終回
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/omotenashi_kikaku/pdf/004_04_00.pdf

2016/3/24:電通が「おもてなし規格認証(仮称)に係る普及促進及び当該規格認証に関する実態調査等」を経産省から受託
https://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/itaku_bid_H27.htm

2016/5/16〜6/14:おもてなし規格認証の認証機関の公募を開始
https://web.archive.org/web/20160723124255/http://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/k160516001.html

2016/5/16:サービスデザイン推進協議会設立
https://www.service-design.jp/administrator/
↓にリンクを貼ったファイル上では、2016/5/13時点の「補助金執行一般社団法人(仮称) 定款(案)」というファイル名で保存されており、電通、パソナ、トランスコスモスの3社が設立時社員として記載されています
更に、この定款のPDFファイルのプロパティを開くと、作成者に「情報システム厚生課」(経産省内の組織)と記載があり、公募を開始する前から経産省がこの法人の設立に関わっていたようだ、ということが分かります
https://www.service-design.jp/files/user/omotenashi/pdf/SDEC_AOI_20160513.pdf

〜2016/9:サービスデザイン推進協議会が、「おもてなし規格認証に係る認定機関及び認証機関立ち上げ・運営支援」の補助金として約4700万円を取得(以下リンク先の平成28年度の4~9月のエクセルに記載)
https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/index_result_info.html

〜現在:9件の補助金を経済産業省から取得(持続化給付金事業は10件目)
https://info.gbiz.go.jp/hojin/ichiran?hojinBango=9010405014817

上記の経緯を踏まえると、公募開始前に経産省が協議会の定款を作成していた模様であることから、「おもてなし規格認証」をサービスデザイン推進協議会に運営させることを予め決めていたように見えます。

でも何故経産省は、定款の作成に関わってまでサービスデザイン協議会に事業を委託したかったのでしょうか。
経産省の動機は不明ですが、上記の3社は少なくともサービスデザイン協議会から利益を得られる人たちです。電通は今回の給付金事業を再受託してますし、協議会は20億円を手に入れています。
詳細は以下のNoteを参照頂ければと思いますが、とにかく設立以来協議会に多額の資金が経産省から流れています。
https://note.com/tokyodistillery/n/n11e0f692d3a1

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話は少し変わりますが、私(たち)は年収の結構な額を税金に取られてます。少なくとも年収の10%は所得税と住民税に取られ、消費税も10%なので、食費に50万円使ったら5万円取られます。(平均的な一人暮らし世帯が年50万円みたいです)
それでも、このお金はつまるところ自分や他の人が受ける公共サービスのために使われるので、妥当な支払いである(はず)と思っていました。が、やっぱり全部が全部そうでもないっぽいぞと思わされるニュースでした。

そもそもおもてなし規格って何でしたっけという疑問があり、それを運営する法人を通して不透明な資金(税金)の流れがあることにより、特定の誰かを利するために政策が悪用されてませんかと思ってしまいます。

「トリクルダウン」という言葉を、以前よくテレビとかで聞いた気がします。富裕層が潤えばそれが全体にも行き渡る的な意味の言葉だった気がしますが、この件に関していえばもはや流しそうめんですね。

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