「塔」2019年3月号(月詠)
おまへは何故そこで笑つてゐるのかと問ひたる首のこちらへ曲がる
あらさう、と言ひかへす時水鳥のごときものわが声を過りぬ
わが生をわれがもつとも拒むゆゑ梢に冬の風は撓めり
雪踏めば足裏【あうら】にひびく弦楽のソステヌートのごとき重みは
汽車といふ言葉は北へ向かひつつ雪にまばゆしモノクロの渡河
まつさらなシーツふくらみわが視野に死後のひかりの整ひゆかむ
(p.89)
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おまへは何故そこで笑つてゐるのかと問ひたる首のこちらへ曲がる
あらさう、と言ひかへす時水鳥のごときものわが声を過りぬ
わが生をわれがもつとも拒むゆゑ梢に冬の風は撓めり
雪踏めば足裏【あうら】にひびく弦楽のソステヌートのごとき重みは
汽車といふ言葉は北へ向かひつつ雪にまばゆしモノクロの渡河
まつさらなシーツふくらみわが視野に死後のひかりの整ひゆかむ
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