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『春の遠足』Ⅱ.

葉桜の日

朝焼けの光をすかす葉桜を朝のまぶたに焼き付けにけり

挨拶の声明るくてさう云へばかつて私も子供であつた

高一の生徒にされしタメ口を不快とすわれは昭和の生まれ

鉛筆の六角形をもて余す殺伐とした罫線のうへ

感傷が逃げ出していく教室の指紋だらけの窓の向かうに

葉桜となりし川べり駆け抜けてもうこの街にあなたはゐない

こそばゆい記憶を歩く過去形の語尾をしづかに飲み下しつつ

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