「塔」2020年6月号(月詠)

あなたも、と初めて知りぬ 派遣には適用外のテレワークなり

いくらでも潰せるやうに指の骨鳴らして午後のオフィスに戻る

この先の人身事故に停まりたる電車より見上げる春の雨

迷走の夜は呼吸も錆びついて拒絶の言葉すら疎まれる

ここにきてやうやく合つてきたやうな身体、わたしの終の住処よ

いつもより空気多めにすれ違ふ電車わづかに窓を開けつつ

(p.51 山下泉選)

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