2021年印象に残った本5選~「問い」「観察」「マネジメント」「人生」~
2021年もあっという間に終わってしまいました。
自分の中に色々なものを残しておくために、読んで印象的だった本を所感とともに紹介します。
今年は良い本に出会えた割合が高かったように思います。
問い続ける力(石川善樹 著)
2019年4月10日発売。
予防医学に携わる石川先生の本。
去年の末、「フル・ライフ」という別の本を読んで『重心』という考え方に感銘を受け、その次に取った本がこの本だったように記憶しています。
この本は「問い」というものを色々な切り口から考察していく本ですが、印象的だったのは序文でした。
あぁ、身が切られるような思いがしました。なぜなら私は「では派」なので。
自分自身も、答えらしきものに踊らされて、自分が解くべき問いを煮詰める時間を作っていない。
2022年は自分の中で今後向き合っていきたい問いについて温める期間にするのも良いなとこの時思いました。
書籍の中にも非常に興味深い問いがいくつも登場し、中盤から終盤にかけての各人との対談も読み応えがあるので、折に触れて読み返したいと思える本です。
戦略質問(金巻 龍一 著)
2021年11月11日電子版発売。
「戦略は時間をかけて考え抜くものだ」という凡人の暗黙の先入観に見事に楔を打ち込んでくれた書籍。
「ゼロ・トゥ・ワン」でピーター・ティールが語っていた、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」を思い出します。
書籍内は、昨今見られる戦略立案の「工業化」や「同質化」に懸念を示しながら、「ウォールーム」と呼ばれる少人数での打開策考案プログラムを軸に戦略立案のプロセスにおける「考える」というプロセスに焦点を当てるという試みを展開しています。
特にキーとなる10の質問を「セントラル・クエスチョン」と呼んでいるのですが、これが非常に面白く興味深いです。
全貌はぜひ読んで確かめてほしいのですが、個人的に印象に残ったのは
です。
このような普段考えない角度からの問いかけは、たしかに思考が活性化し新しい視点を生むきっかけになるのだろうと感服します。
以下の引用も、自社内だけではなくお客様と向き合うに当たって心がけたいポイントとして印象に残っています。
最初に紹介した「問い続ける力」といい、「問いかけ」をきっかけに自分や周囲、組織の思考を活性化させ広げていくというのは自分自身の課題意識として強いのかもしれません。
嫌われた監督(鈴木忠平 著)
2021年9月20日電子版発売。
紙で手に取ると420ページにも渡る大作ノンフィクション。
私は監督の本を読むのが好きで、今年は他にも福岡第一高校男子バスケ部の井出口監督著「走らんか!」も拝読しました。
監督目線での視点や考えは、企業内の部長やマネージャーの目線にも近しいものがありそうだ、その中でも頂点を見たことのある人は何を考えているのか。そう思ったのが本書を手に取ったきっかけです。
(あとは、山井の完全試合未遂のことが知りたかった。笑)
読み始めると、過去にないくらい引き込まれていきました。(確か、ほぼ1日で読みきった気がする)
落合さんは監督として選手とは常に一定の距離を取り、誰とも群れず不思議な存在感を放っています。
その中で圧倒的だったのは、「観察」と「個」。
監督は常に選手の状況を観察し、曖昧な問いを与えながら危機感を与え変化を読み取り采配を考える。
その中でプロとして選手が自らの中で葛藤を経ながら、確かな理と揺るぎない個を手にしていきます。
個人的に印象に残ったのは、まだ若手の頃の森野が立浪とレギュラー争いをしていた際の下記文章です。
本を読み通しながら、真のプロフェッショナル、そして監督と選手(マネージャーとプレイヤー)の関係性について考えさせられる一冊です。
急成長を導くマネージャーの型(長村 禎庸 著)
2021年11月13日電子版発売。
今まで読んできたマネジメント本の中でもトップクラスに体系化がなされていて、高橋浩一さんの「無敗営業」に近しい衝撃を受けました。
「マネジメントの地図」と本書内で呼んでいる図は、これからマネージャーになる方全員にまず見て欲しいと思えるほど俯瞰的におさえるべき内容が詰まっています。
まずはマネージャーを「地位」ではなく「役割」と心得て、自分で考え、上司に承認をもらうためぶつける。
以前はそこまでするのか、と思っていた節もあるのですが、この本を読んで腹落ち出来た部分も多かった気がします。
また、図を用いて要素を時系列やグラデーション、マトリクスで整理するのがすごく上手で、その可視化能力に何度も唸ってしまいました。
これを2022年は繰り返し読み込みながら、観察と改善を回していくことになりそうです。
そんな「型」としてキレイに整理されている本なのに、終章で以下のような語り口で書かれると心に残ってしまうじゃないかという一文をご紹介。
この人間らしさがこの本をより印象に残しました。
イノベーション・オブ・ライフ(クレイトン・クリステンセン 著)
2012年12月6日発売。
今回紹介する書籍の中では一番古い書籍となります。
2020年に惜しまれながらこの世を去ったクリステンセン氏の中でも、ビジネス書とは一線を画す本書籍を愛読する方も多いと聞いていました。
この本を私が手に取ったのは、新卒からの同期が折に触れて薦めているのを聞いていたからでした。
裏の帯に書かれていた「自分の人生を評価するものさしは何か?」という問いを私自身考えたことはありませんでした。なので考えてみたかったです。でも考えてもすぐに答えは出てきませんでした。笑
中身は著者が今まで説いてきたビジネス理論を紹介しながら、それらをキャリアや人間関係、子育てなどの人生に関わる内容に敷衍させていくというもので、スッと理解できる展開でかつ非常に刺さる内容でした。
この本で最も身に沁みたのは、ジョブ理論を参考にしながら夫婦の関係性について書いたこの節です。
目の前の仕事に夢中になってきたこの数年、あまり考えてこなかったプライベートに関わる内容にも改めて向き合うきっかけをくれました。
今年は30になる節目の年でもあり、今後どのように家庭を築くかも奥さんと会話するシーンが増えてきたので、この本も手元に置いておくことになると思います。
おわりに
毎年読んだ本を振り返っているといつも、自分自身の課題意識が現れているなぁと感じます。
2021年は「問い」「観察」「マネジメント」「人生」辺りがテーマだったように思います。
2022年は会社でも新たな役割を拝命し(後述しようと思う)、プライベートでも新たな節目を迎えられるよう準備と実行をしていく年になります。
今年は一体どんな本に出会えるだろうか、それを楽しみながら過ごします。
個人的には、著者軸で読み込んだりもしているので、
時間があればnote内で特集も組んでみます。
2021年ありがとうございました。
2022年も1年よろしくお願いします。
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