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『枕草子』朗詠 第七段「陽の節句の日」

重なる日付の陽の日・いわゆる節句の日(五節句では元日ではなく一月七日)は、
趣ある風習もあるし、こういう天候気候なのが理想的でいいんだけれど……という列挙でしょうか。

元日と、上巳の節句は、春、花の季でもあり、うららかがいい。第二段にも書かれる風情です。
端午の節句・5月5日は、現代では、たいていは晴れの当たり日だけれど、旧暦では夏、梅雨時でもあり、菖蒲が映える曇りがいいとのこと。
七夕は、日中は曇り、夕方から晴れて、月や星がよく見えるのがいい。

九月九日は重陽。陽が極まる日。
菊の節句といわれ、菊に着せ綿をかぶせて露をしみこませ、体をぬぐったり、菊酒を飲むことで、延命長寿を祈念します。
露や香りをたっぷり染み込ませるためにも、朝方などにほどよく雨になるのが理想的。
『紫式部日記』にも逸話があり、王朝期より盛んだった風習だけれど、
現代では、神社仏閣などで行われるところがあるくらいで、一般にあまり浸透していないのが残念。
今の暦だと、菊の盛りには早いし、どこのお宅でも菊を植えてあるわけでもないから、難しいかしら。

中宮を囲み、女房たちが、
「〇月〇日の節句の日といえば、こんな一日が理想よね〜」
「そうそう♪いいわ〜」
なんて、連想ゲームみたいに語り合っている様子が思い浮かべられます。

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