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つらい時期に支えてくれた曲は、心から消え去らない
失恋…のような大事件でなくとも、
ハートブレイクなことはあります。
人からは、引っ越し程度で大げさな…と、わかってもらいづらいですが、
昨年の12/28なんてギリギリの時期に、大家都合で、急きょ、一ヶ月以内に、
学生の頃から数十年、実家より長く住んでいた部屋を、身辺整理と共に転居せねばならなくなり、
管理人さんがたのご厚意で、次の部屋の確保や引っ越し屋さんの手配、各手続きなどはスムーズだったものの、
資金等、身上的に諸々不安だらけだった上、
家財も衣類も、書籍資料類も、部屋にあった荷物の8割以上を捨てねばならなくなり、
もう本気で、死が間近い終活のつもりで、大切なものを心を殺して手放し、毎日毎日、ゴミ捨て場に何往復も運び続けました。
今思えば、よく片付け切れたと思う量でしたが、
捨てる罪悪感と、取り返しのつかないことをしている不安で、
つらくて悲しくてやるせなくて。
さらに、私が去ったら、取り壊されることが決まっている、愛着長い部屋への名残りで、
泣くに泣けず、逃げ出すことも投げ出すこともできず、
自分自身も、荷物や部屋と一緒に消え去りたい思いに苛まれ、情緒不安定で、
引っ越しが済んでも、完全に日常と人心地を取り戻す3月くらいまで、現状が怖くて心細くて、
正月も春も、まったく感覚が失われていたし、
今も、思い出すと胸が潰れそうになります。
そんな引っ越し前後の一時期、ネット環境が使えなかった頃、
誰かと話すこともなく、FMラジオで静寂をまぎらしていたのですが、
ちょうどこの頃に、ラジオでよく流れていて、心にほのかな光が灯るように感じていたのが、この歌曲でした。
アニメ『薬屋のひとりごと』の第2シーズンのオープニングで、
メッセージソングでもなく、
アニメに則したキャラクターの述懐のような歌詞だったのですが、
歌の意味とかは関係なく、ところどころ耳に入ってくる、
さりげない言葉を歌う声に惹きつけられました。
春の野のたんぽぽの群れ、風に舞う綿毛のように、優しいふんわりとした声に、あたたかさを感じつつ、
切なげであっても、リズミカルで、元気で明るい心地を導き出し、
一歩歩みだすために、そっと肩を包みつつ押してくれる、春風のような曲想に、
緊張が溶けるようで、
ひとりのようでも、遠くから大切な誰かが守ってくれている、そんな心地にしてもらえて、
(届かない想い、気づかれぬまま見つめているという歌なのに)
歌を胸に抱きしめて泣きたくなった。…あの頃、泣きたくても涙が出なかったのですが。
今もこの歌を聴くと、あの頃の救いようのない心細さの中、あたたかく肩を押されるような切なさを、ありありと思い出します。
たぶん、この先もずっと好きで抱きしめていたい歌になると思います。
歌や曲、声や響きは、理屈ではなく、心を救う。
印象に残り続ける。
それが、ジャンルやテーマに関わらぬ、原初的な音楽の力なのだと思います。
ちなみに引っ越し作業後、リハビリのような感じで、
『薬屋のひとりごと』も、原作とコミック2作、アニメもHuluで、全部完読・鑑賞しました。