200mile
とても寒い朝でした。
陽の光もなく 厚ぼったい雲に覆われて
時折吹いてくる 尖るような風をやり過ごす
ただ そんな朝でした。
そんな朝でも
なぜだか 昨日の夜の君の香りが
ぼくの首回りあたり
届くくらいの距離に揺れて
心がじんじんと 腫れていくようでした。
君の声を想い出しながら
マフラーの奥 ふつふつと
今日 いち日を頑張るんだと
足を早めます。
君の好きな珈琲の香りがして
ふと顔をあげてしまう ぼくは
まだ この朝を突き抜けていけるだけの
そんな魅力を 持ち合わせていないようで。
行ったり来たり
立ち上がったり 寝込んだりしながら
ぼくがいつか
こんな日々の ぼくを通り越えて
あの晴れ間から伸びる
美しい海へのはしごに 辿り着けるように
大切に生きたいと そう思うんです。
いま振り返らないように
だけど辿り着いた時 笑って行けるように
200mile
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