リゼロ 緋色姫譚 〜紅蓮の残影〜
このお話は2021年9月25日発売の「Re:ゼロから始める異世界生活」の外伝であるEx5「緋色姫譚」です。Ex5の前半部分である「紅蓮の残影」について紹介します。
キャラの部分で少し七章のネタバレ含みます(五章、六章のネタバレは含みません)。
「昔、昔、あるところに、それはそれは美しく、可憐で、愛らしい娘がいた」
『神聖ヴォラキア帝国』、そこは弱肉強食の掟が活きる四大国最大の国家。強者が尊ばれ、弱者が虐げられる帝国の鉄則に例外はない。それがたとえ、帝国の頂点たる皇帝だろうと。ヴォラキア皇族の一人、プリスカ・ベネディクト――まだ幼く、しかし聡明な彼女に降りかかったのは次代の皇帝を決める『選帝の儀』。兄弟姉妹で殺し合い、最後の一人となったものが次なる皇帝となる血の闘争、それは残酷なまでに美しい宝剣の炎に照らされ、開幕する。
「どうあろうと関係ない。――世界は妾にとって、都合の良いようにできておる」
強者の理が全てを蹂躙する帝国史の一幕。――緋色の姫よ、焼き尽くせ。己が運命の障害を。
あらすじ
プリシラの従者であるシュルトは目覚めると隣でプリシラは読書をしていた。シュルトは視界に入った真っ赤な装丁に金色の装飾を施された本について尋ねる。ふと気分で興が乗ったプリシラは覚え書きであるその本をシュルトに読み聞かせる。
食事の現場で事は起こる。毒見係の味見を終え漸く主の食事が始まると思いきや一口食べた瞬間主は気を失う。毒見係は毒入りだと悟らせない為、主が口に入れるまで涼しい顔して生き耐えていた刺客だった。刺客は目的を達成できたと思いきや奥からある人物が登場する。それは死んだはずの主ーープリスカ・ベネディクトだ。
死んだ人物はプリスカの影武者でそこにいた侍従は全員刺客だった。子供1人相手に刺客は複数人。だがプリスカは素手でありながら次々と撃退する。撃退する事にも飽きてきたプリスカだが突如残りの刺客たちが一斉に燃え始める。これはプリスカの従者の「精霊喰らい」アラキアの仕業だった。
先の惨状の後プリスカの元へ8歳ほど年上の兄ヴィンセント・アベルクス(後のヴィンセント・ヴォラキア)が訪れる。そして来訪の目的を即座に理解したプリスカ。
「始まるか」
「ああ、始まる。ーー選帝の儀だ。
プリスカ、お前も帝都へ向かう準備をせよ」
そこで一度言葉を切り、ヴィンセントは続ける。
それはーー、
「父上ーー皇帝が崩御なさるぞ」
帝都ルプガナを訪れたプリスカたち。そこにはヴィンセントを含む兄弟六十六人の内まだ生きている三十二人が一堂に会する。
そこへ父ーードライゼン・ヴォラキア皇帝が登壇する。そして空間が歪みそこから赤い剣の柄がそれぞれの兄弟姉妹の前に生じる。そして、、、
「これより『選帝の儀』を始める」
(中略)
「『陽剣』は主人を選ぶ。剣に選ばれることは皇帝となるための最初の資格」
言いながらドライゼンの前にも出現した柄を掴む前皇帝、すると前皇帝は陽剣に見限られ身を焼かれる。これをもって選帝の儀が開始される。参加者は陽剣の柄を握って焼かれなかった十一人。
↑プリシラと陽剣ヴォラキア
プリスカの元を訪れる女がいる。名前はラミア・ゴドウィン、選帝の儀の参加者であり、プリスカにとっても忌々しく思う人間の一人であるがプリスカの姉という立場だ。絶対的な強者である兄のヴィンセントに対抗するために同盟を持ちかけてきた。渋々受け入れ、ラミアに与すると見せかけることに。
場面は大きく変わり、完璧なヴィンセント包囲網を組んだプリシラ、ラミアを含む六人の皇帝候補。完璧な包囲網で圧倒的な戦力差だが、それを諸共せず剪定部隊を崩壊させたのはセシルスセグムントだった。
プリスカは別行動を起こし、ヴィンセントと対面する。互いに陽剣を持ち一騎討ち。更にアラキアとチシャもぶつかる。
戦闘は激しくなるが一面を光が襲う。それはラミアの仕組んだ渾身の魔石砲だった。しかし、煙が晴れると一帯にいたプリスカ、ヴィンセントを始め全員生存。アラキアが四大精霊の『石塊』ムスペルを喰らい防いだ。ラミアは自分が包囲されていることに気づく。更にセシルスが駆けつけラミアは単身で逃げるもそこに現れたのはプリスカだった。
数ヶ月が過ぎパラディオをプリスカの手で滅ぼす。プリスカとヴィンセントの一騎討ちも間近に迫る。そんな中プリスカの元へヴィンセントの参謀のチシャが訪れる。チシャが贈呈といって酒を持ってきたがアラキアに砕かせる。するとアラキアは床に溢れた酒を舐め始める。プリスカは驚き戸惑うもアラキアを救う為唇を重ね毒を吸い取る。アラキアはプリスカを生かす為にヴィンセントの策に乗ったのだった。そして猛毒に侵されたプリスカ・ベネディクトは死亡し選帝の儀は終了する。
アラキアはプリスカを生かすことに成功したもののプリスカとは会えない。プリスカはヴォラキア領東端にある皇族の墓を訪れプリスカを埋葬する。といっても埋葬したのはプリスカの身代わりとして刺客に殺された影武者だった。そしてプリスカは影武者の名前ーープリシラを名乗り生きて行くこととなる。
赫炎の剣狼へ続く。
登場人物
プリスカ陣営
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プリスカ・ベネディクト
若き日のプリシラ・バーリエル。12歳という年齢にも関わらず本編登場の19歳の頃と性格や口調はほとんど同じ傲岸不遜な性格。若き日のラムと同様に既に完成された存在。私兵団『赤拵え』を配下に置く。
常に先に起こることを予感しているーーというより
「ーー世界は、妾にとって都合の良いようにできておる」
と本人の言う通りなのだろう。
アラキア
このお話のメインヒロインと言えるキャラクター。
「精霊喰らい」という珍しい能力を持つ。精霊を食べ能力を発揮する。今回は四大精霊の一角である「石塊」ムスペルの一部分を食べる。その対価として片目の視力を失う。
プリシラ
プリスカの影武者として刺客に殺された。
シュルト
回想前のプロローグにて登場。元は孤児であったが真紅の瞳を持つという点をプリシラが気に入り、以後プリシラの従者兼添い寝係となる。
ヴィンセント陣営
ヴィンセント・アベルクス
このお話の時点での年齢は20歳前後。この選帝の儀を生き残り77代目皇帝となる。
後の九神将の「壱」1人で部隊を壊滅させた。自由奔放な性格。実力はラインハルトにも並ぶとされる。
後の九神将「肆」武力はほとんどないがその知力が高く買われヴィンセントの部下に入る。アラキアの攻撃で瀕死になり、色覚を失った結果全身が黒色から真っ白になる。
ラミア陣営
ラミア・ゴドウィン
「毒姫」という二つ名を持ち私兵団「剪定部隊」を持つ。腹黒で信頼されていたバルトロイを殺すのも躊躇なく行う。プリスカとヴィンセント相手に敗北する。
ラミアの参謀。ラミアの死後、ラミアの遺産としてヴィンセントの部下になる。
その他
バルトロイ・フィッツ
ドライゼンの息子でありながら陽剣の柄を握らず選帝の儀を辞退した。ヴィンセントに兄弟にかける情けがあるとは限らないと感じ、ラミアに協力するが殺される。その裏ではヴィンセントに他に辞退した九人の首を引き換えに領民の安泰を約束させた。
ロンメル
最初に陽剣に焼かれた人物。
パラディオ・マネスク
選帝の儀参加者。魔眼族で髪の毛などの他人の一部を持つことでその人に対して念話を通す事が可能となる。最後はプリスカに斬られる。
神聖ヴォラキア帝国とは
ルグニカの南に位置する肥沃で広大な土地を持つ国家。ルグニカ、カララギ、グステコに並ぶ四大国の中でも最も領土が広く、実力至上主義であり戦が各地で起こっている。選帝の儀を終えヴィンセントが皇帝に即位して以降争いの数が格段と減っている。この実力至上主義の風潮も相まって皇帝の座を狙わんとする輩も一定数存在する。
帝国軍人は上から一将、二将、三将、上等兵…とあり
中でも一将は「九神将」と呼ばれルグニカの近衛騎士団に匹敵する実力者揃いである。以下の序列である。
壱:『青き雷光』 セシルス・セグムント
弍:『精霊喰らい』アラキア
参:『悪辣翁』 オルバルト・ダンクルケン
肆:『白蜘蛛』 チシャ・ゴールド
伍:『獅子騎士』 ゴズ・ラルフォン
陸:『呪具師』 グルービー・ガムレット
漆:『極彩色』 ヨルナ・ミシグレ
捌:『鋼人』 モグロ・ハガネ
玖:『飛竜将』 マデリン・エッシャルト
漆はweb本編で登場。書籍も12月発売の28巻に登場する。
玖は本編外伝含め未登場。玖は「赫炎の剣狼」でも登場するバルロイ・テメグリフの後をマデリンがベルステツの推薦の結果、継ぐこととなる。
九神将&ラインハルト、ユリウス、フェリスが活躍するお話はEx4「最優紀行」
感想
概要は知ってるだけで初見なので読んでて楽しかった。アラキアの苦渋の判断が本編28巻部分であの対応だとちょっと報われない。本編の補完として良い内容で特典も充実して最高でした。
ゆっくり赫炎の剣狼読んでまた書きます
それではっ!