見出し画像

教員の働き方について②

 前回に引き続き,

教員の働き方


について,『教育論の新常識』(中公新書ラクレ)を基に,考えたいと思います。今回のテーマは

本音の「対話」の重要性


です。これは,

保護者・学校内部・学校外部


さまざまな人との対話を含みます。

保護者との対話について,本書では「運動会の時短の理由説明」を例に挙げて説明されています。多くは「熱中症対策」と説明されることに関して,以下のようにまとめられてます。

働き方改革は学校の喫緊の課題であり、時短運動会が改革の一貫であることは明らかです。そうした教員の事情をもっと正直に言っていいと思うのですが、保護者の反応を気にしすぎて、なかなかできないようです。(中略)数年前ならともかく、教員が忙しいことは、いまやほとんどの人が知っています。働き方改革の追い風も吹いているのだから、「私たちはこんなに大変なんです。どうかご理解ください」と、素直な対話をすべきではないでしょうか。(p.257)

 教育現場とは,保護者の顔色をうかがい,教員は保護者ときちんと対話できないことが多いのではないでしょうか。気づかぬうちに,保護者>>>教員という上下関係ができているかもしれません。

 より良い教育をするためには,対立を恐れずに,互いがきちんとした「対話」が必要だと思います。

学校内部でも同様です。もしかしたら,一番あきらめているのが現場の人間かもしれません。「教育だから」とか「教員なんだから当たり前」とか「教員なんだから我慢すべき」という考え方がまかり通ってる可能性さえあります。気づかぬのうちに上限関係がはたらき,「対話をしても無駄」となり,結果として疲弊し,良い教育はできなくなります。

学校外部との対話とは,

教育に携わっていない人の意見を受け入れる

ということです。筆者が述べるように,「現場を知らない者は黙っていてくれ」という考え方を教育現場の人は確かにもっているように感じます。これもある種の上下関係かもしれません。

 この感覚をもっているうちは,教員の働き改革は進まないでしょう。「教育現場は特別だから仕方ない」という感覚を抜く必要があるからです。

 良い教育をするためには,まず教員自身がゆとりをもてる職場環境作りが必要です。

 そのためには,暗黙の了解にある上下関係を廃し,皆がこれまでの「当たり前」という考えを捨て

率直な対話


が必要でしょう。

 この『教育論の新常識』を教育関係者は読み,考えるべき重要な問題のひとつです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?