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『英語ひとすじの道』
今回紹介するのは,『英語ひとすじの道』(筑摩書房)です。この本は,英語学習者にはぜひ読んでほしい一冊です。
本書は,東後勝明先生の自伝です。東後先生は早稲田大学の名誉教授でした。私も学会で一度だけお目にかかったことがありますが,非常に気さくな方でした。
本書を読むと,東後先生が生涯,非常に英語学習に熱心だった方だということがこの本から伺えます。
東後先生は,1938年生まれなので,「日本に外国人がそこらへんにたくさんいる」なんて時代ではもちろんありませんでした。その分,外国人と話すことに飢えていたことが伺えます。本書によれば,
・ 辞書を一冊丸暗記
・ 外国人がいると母親に言われるや否や,家を飛び出して外国人を追いかけ,英語で話す
・ 英語劇のオーディションで落選し,落選の原因だった "hissing sounds" (歯と歯の間の微妙な隙間から出るシューシューという音)を矯正するために,歯の治療をする
・ のどがつぶれるまでスピーチコンテストのために練習をする
など,過酷とさえ思える,まさに文字通り「英語に人生をかけた生涯を送った人」です。読み進めていくと,ページをめくるごとに感動を覚えます。英語に対する凄まじい情熱と努力を感じます。
留学なんかしなくたって,外国人と話す機会が少なくったって,英語はできるようになるんだと感じさせてくれる本です。
語学の王道は何なのかということを教えてくれる
一冊です。そしてまた,自分たちなんてあまりに軽薄に「英語を話せるようになりたい」と言い,その割に努力が全然足りていないということを思い知らされる本です。読み返すたびに,「もっと頑張らなくては」と英語学習のモチベーションが上がる本です。
英語を教える人はもちろん,語学を志す人,英語を使えるようになりたい人の必読書といえるでしょう。現在では絶版となり,中古の値段が高騰しています。6,000円弱なら仕方ないと考え中古で購入するか。古本屋で探すか,それとも図書館で探すか。いずれにせよ,入手する価値のある一冊です。