気にしないで、犬とさかなの話だから
終わりに向かって歩いている。案外気分は悪くなくて、水槽のオイカワを彼らが生まれた荒川に返す元気が出るのを待ったり、煙草を買いに行くことも出来ないまま陽が落ちて、夜なら外に出られるかな、と帽子をかぶったまま、朝になるまで椅子に座りこんでいたり。とにかく、現実的な話はもうできない。結局のところそれは結果として表れるしかないものなんだと思う。文章を書く、伝達、線と線が結ばれて形が、光が、音が、匂いが現れること、そうであって欲しいけれど、なかなかそうはならないまま終わっていくもの。水槽の中でくるくる回るさかなたち、流しっぱなしにしている天気予報。雨の気配、よろこび、誰にも連絡を返せていない毎日。ごめんなさい、どうしても今は無理なんですと送るのはいいことじゃない気がして、豪雨に注意してくださいとアナウンサーが伝える。そうできるものならそうしたい、と思う。
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