見出し画像

ムンデイ先生の助けを借りてTIMEを読む。

今週のTIMEは、エリザベス女王追悼号。圧巻のバイオグラフィだが、その中で興味深い小記事を見つけた。彼女が母から譲り受けた105カラットのCROWN JEWLの話だ。そのダイヤモンドは12世紀から14世紀に作られたもので、系譜として、戦争・内乱によりムガール、ペルシア、そしてシークといった大きな帝国の手に渡ってきた。そして最後に、イギリスが帝国主義という名の下に、そのダイヤを戦利品として獲得することになる。

そのダイヤについては、長年インドが返還を求めてきており、その声は相当大きくなっているようだ。インドだけではない。同じ系譜を踏むアフガンもイランも同じ思いだ。これまでは、女王の人気とカリスマ性で、その声を抑えてきた要素は否定できない。

しかしこれからは、チャールズ国王が矢面に立つことになる。彼にはそこまでの抑止力は期待できないかもしれない。また、イギリスにとって、この戦利品はある意味、国家としての黒歴史であり、将来に禍根を残さないために、返還するという可能性も考えられる。

TIMEを読んでいると、ローマ帝国、チンギスハン、オスマン帝国、宗教改革、南北戦争、公民権運動など、世界史の一定知識がないと読み解けない記事に出くわす。参考書として以前は、かの有名な「山川の世界史」を活用していたが、ディテールが過剰なため、歴史の経過をシンプルに掴みたい自分にとって、トウーマッチなものだった。

頃合いのいい教本はないかしらと思っていたら、ようやく見つけた。ムンディ先生こと山崎圭一氏の「世界史の教科書」。歴史の骨格が理解できる良本である。

大きな特徴として、世界史がミレニアムスケールの壮大なストーリーになっていること。登場人物がミニマムであること。年号が出てこないこと。シンプルで理解しやすい。何故この事象が起きたのか、ストンと腑に落ちる。この本をTIMEの横に置いて、わからない事象を見つけたら、辞書的にこの本を活用する。英語と同時に世界史も一緒に理解できるので、非常に重宝している。

なぜ、イギリスが帝国主義からインドを狙ったのか。前述のダイヤを保有していたムガール、ペルシアとは一体どんな国家だったのか。それが理解できると、TIMEがなぜこのような視点で記事を書いているのか、といった背景が見えてくる。

英語学習の怖い部分は、英語そのものに没頭しすぎて、科学や歴史などの基本的な教養を学ぶ時間が確保できないケースだ。表面的な英会話を否定はしないが、英会話の本質は、やはり互いの考えをぶつけ合うインターアクションにある。そう考えると、歴史観や地政学は最高のツールとなる。時間のない英語者には、手っ取り早く知識を深める効率的な方法だと思う。

いいなと思ったら応援しよう!