「成長する子」と「伸び悩む子」の違いは?【アーティストプロデュースにまつわる100のギモンぶつけてみた】|02
こんにちは、ライターのやまはたです。前回「敏腕音楽Pがやってる「育成」を簡単にする考え方。」に引き続き、今回もS×Sの"中の人"に聞きたいこと、気になることをぶつけていきます。
表向きはアーティストプロデュースにまつわるお話ですが、蓋を開けてみると“人を育てる”うえでのヒントでもある気がしています。
このnoteが誰かを育成する立場の人たちに、少しでも役立つものになれたら嬉しいです。
02のギモン|「成長する子」と「伸び悩む子」の違いってなんですか?
「誰もが何者かになれる場所」をコンセプトに、何者かになりたいクリエイター達をバックアップする『Story by Story SHIBUYA(通称:S×S)』。
このプロジェクトには9人の女の子が登場していますが、すでにメジャーデビューを叶えた子もいれば、今まさに目標に向かって奮闘中の子、これからのことを悩んでいる子もいて、S×Sが始動して1年が経とうとしている今、成長スピードは人それぞれ。
もちろん一人ひとり目標が違うので、同じスピードで進んでいかないのは当然。でもふとギモンに思ったのは、「成長する子と伸び悩む子の違いって何なんだろうか?」ということ。
そこで今回は、S×Sプロジェクトの発案者である京條哲士氏をnoteに召喚。「成長する子と伸び悩む子の違い」や「悩む子にどうアドバイスしているか?」など、アーティストプロデュースのプロが実践していることを教えてもらいました。
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京條哲士氏
株式会社GRIP代表。アーティストマネジメントやライブ制作などを手掛け、人気ロックバンド「coldrain」、「SiM」を発掘・育成。S×Sでもメンバーの気持ちを最優先に考えながら寄り添っている。マネジメント歴は15年。「人と人との偶然の縁を何よりも喜びと感じながら生きています」。
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成長が早いのは
「やるべきこと」に気が付いているから
ーーS×Sプロジェクトの期間は2年間。すでに半分の時間が過ぎようとしています。いち視聴者として見ていると9人の成長スピードに差が出てきたように感じますが、「成長する子」と「伸び悩む子」の違いってなんですか?
京條P:成長が早い子は、自分の明確なビジョンが見えていて、やるべきことが分かっているだと思います。「自分がどうしたいのか」、「どうなりたいのか」という気持ちがはっきりしていると、あとはそこに向かって何をするか逆算するだけ。だから成長スピードが早いのだと思います。
ーー前記事でも長谷川Pが言っていましたが、S×Sの方針は何かを無理やりやらせるんじゃなくて、「本人がどうしたいのか?」という“主体性”を軸にしていますよね。9人の目的地は違っても、サポート体制は公平に用意されている。だけど、まだ「自分が見えてきていない」子は、周りと何が違うんでしょうか?
京條P:自分と対話しているか、していないかだと僕は思っています。きちんと自分と向き合わない限り、進むべき道は見えてこない。
以前、長谷川さんがメンバーにも話していたと思うんですが、Googleマップを開いたときに、目的地が分からない(決まっていない)とそもそも進めないじゃないですか。そして目的地が分かったとしても、今いる現在地も知らないと、目的地への経路が出てこない。
ーー確かにスマホならGPSで現在地を自動検知してくれるけど、自分のジンセイはそうはいかないですね…。
京條P:でも、行き方(道筋)は何通りもあるんです。高速道路で行くのか、下道で行くのか、渋滞を避けて進むのか。僕らは行き方についての協力はできるけど、目的地は決定できない。だから当人が自分ととことん向き合って、今自分がどこにいて、どこに行きたいのかを明確にすることが大切だと思います。
分からないなら
「分からない」を共有していい
ーーとはいえ、頭では分かっていても器用に立ち回れないこともある気がします。そんなときはどうしたら?
京條P:S×Sに参加している時点で、アーティストやクリエーターなど「何者かになりたい」という強い想いは持っている。この想いを“明確化”できるかが、成長するための重要な鍵。それには本人の“自主性”が必要です。
ーー自主性って、“目的に向かって自分から行動を起こすこと”ですよね。
京條P:目的地が明確になっていないなら、「私、分からないんです。どうしたらいいですか?」って相談すればいいと思うんですよ。“相談することを選ぶ”のも自主性だと思っているので、こちらから無理やり聞き出すことはしません。もちろん、相談したいと思えばいつでも相談したらいいんです。
ーーメンバーは16歳〜26歳まで年齢がバラバラですよね。ぶっちゃけ人生の経験値というか、社会に出ているか否かでも身の振り方に差が出てしまうのでは? と思ったんですけど、どうですか?
京條P:僕は年齢は関係ないと思ってます。たとえば小学生でも「先生これってどういう意味ですか?」と質問する子はいますよね。“知りたいという気持ち”だって、自主性の一部。これは社会を経験したから備わるものじゃないと思っています。
ーーもっと周りを巻き込めと。
京條P:そうです。みんなの意見を聞いた方が、プラスになる。これに気が付けると、物事の進め方が見えてくると僕は思います。
ーーもし京條さんが壁にぶち当たったらどうしますか?
京條P:今言った通り、僕も色々な人に相談するかな。悩んでいる時って考え方が主観的になっているから、客観的に自分を見つめるために、誰かの意見を聞きます。
ーーS×Sにおいて京條さんや長谷川Pは、メンバーのプロデューサーであり、相談役でもあるわけですもんね。
京條P:たとえば「あの山登りたいんだ!」って言われたら、「じゃあ道作ります!」っていうのが僕らの役目。「登りたい山がない」っていう相談でもいいんですよ。それなら「じゃあどの山登ろうか」って一緒に考えるし、「私は山に登りたいんじゃなくて川で泳ぎたいんだ!」でもいい。横に僕らがいるのに、ただ三角座りしていたら何も進まないですよね。どこに行きたいのか分からないなら、「分からない」を伝える、共有することがとても大事。
ーー強力な支援者が周りにたくさんいるなんて、世間一般からしてみたらめちゃくちゃ羨ましい環境だと思うんですが…!
京條P:そう、9人は今めちゃくちゃチャンスだと思うんですよ。S×Sには色んな立場の人が周りにいるから、相談すれば何かしらのヒントはあると思う。メンバーはそれをうまく使って、目的地までたどり着いてほしい。彼女たちの手助けをするために僕らはいるので。
物事が動き出せば
モチベーションは自ずと上がる
ーー実際、京條さんたちへの相談を経て“殻を破ったな”と感じるメンバーはいますか?
京條P:いますね。最初は悩んでいたけれど、しっかり自分と向き合う中で本当にやりたいことが見えてきて。しかもそれを実現できるメンバーが実は9人の中にいて、想いが繋がって。ちょうど今共同制作が進んでいます。
ーー共創がお互いの目的地への一歩になるなんて、S×Sならではの相乗効果ですね。
京條P:ホントそうですね。S×Sって職業訓練所とか学校みたいなものなのかもしれません。アーティストだったり、クリエーターだったり、このプロジェクトを通してそれぞれが何者かになるための授業を受けている感じじゃないかな。隣の席にいるヤツが曲作れるから、曲書いてもらって、自分が歌う。夢を叶えてくれる相手がたまたま同級生にいたっていう。そういう光景は僕としてもすごくいいなって思って見てます。
ーーでも、自分が悩んでいる立場だったら仲間の成長は焦りを感じちゃうかも。もちろん応援したい気持ちもあるけれど…。
京條P:もちろん、なかには焦りを感じているメンバーもいるとは思います。でもそんな自分を打破したいと思っているのなら、やはり悩んでいることを声に出して、周囲に伝えることからはじめてほしい。結局のところ、こちら側からやらせたところで長続きはしない。自分が心の底からやりたいと思わないと、熱量は上がらないから。
ーーそういえば長谷川Pもこんなこと言ってましたね。
誰かにやらされていることって続かないし、本人のためにもならない。たとえどんなにお給料がよくても、モチベーションがないと続かないことってあるじゃないですか。アーティストに限らず、サラリーマン、フリーランス、お母さん、どんな人でもそうだと思ってます。
京條P:いかに自分が「なりたい自分」への想いを強くもてるか。物事が動き出せば楽しくなるし、自ずとモチベーションが上がってくる。もし立ち止まってしまったら、とにかく誰かに相談!
ーー相談といえば、RUNA(現Runaar)ちゃんが京條さんや長谷川Pと話し合いながら、歌詞を掘り下げる作業をする回がとても印象的でした。
京條P:彼女はこれをきっかけに「どうすれば自分だけの歌詞が書けるのか」に気が付いた感じがしましたね。
今回のまとめ
京條さんが話してくれたポイントをまとめると、
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・成長する子は、やるべきことが明確になっている
・明確化するためには、とことん自分と向き合うこと
・伸び悩んでいる子は、“相談する”という行動起こしてみる
・“自主性”が成長のエネルギー源になる
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333倍という競争率を勝ち抜いた時点で、「魅力」と「熱意」が9人にあることに変わりないので、自分から積極的に周囲を巻き込んで、目的地に向かってどんどん前進していってほしい…!
さて、次回もアーティストプロデュースにまつわるギモンをぶつけていきます。
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