セッション概要(セミナーの紹介文)の作り方
講演やセミナーに登壇時にはタイトルとセッション概要(セミナーの紹介文)を告知用に主催者に提出します。
セッション概要の書き方についてのまとめてみました。参考になれば幸いです。
Step 1:盛り込む内容(候補)を書き出す
書き慣れない方にとっては大仕事、そうでない方でも時間がかかってしまうという方は、まず、次の項目を箇条書きで書き出しましょう。
背景(そのセッションが必要となっている現状 → 共通認識)
その背景についてのコアとなるメッセージ(〜だから〜が必要など)
ターゲット(どんな方に聞いて欲しいか、効果が出るのは誰か)
想定している内容
持ち帰れるもの(スキル)
講師のスキルやバックグラウンド(プロフィールで語ってもよい)
言い換えれば、読み手(=セミナー参加者)視点で、次の3点について考えます。
なぜ、この内容を聞く必要があるのか
なぜ、今、聞く必要があるのか?
なぜ、この人から聞く必要があるのか
上記の「3つのなぜ」は西脇 資哲さん(日本マイクロソフト)の提唱するプレゼンの黄金比の引用です。
「このセッションを聞かないと、こんなふうに困る」という“ホラーストーリー”的なアプローチもあります。
「なぜ、この人から聞く必要があるのか」については、プロフィールで扱う方向もあります。
セッション概要作成チャート
次のような表を用意しました。
すべて埋めなくてもよいので、“アイデア出し”として利用してみてください。
PDF(A4サイズ)を置いておきます。プリントアウトしてご利用ください。
Step 2:文章としてまとめる
セッション概要に限らず…ですが、いきなり文章として書きはじめることは避けましょう。
まずは、箇条書きなどで要素を洗い出し、それを取捨選択するというプロセスを踏むと、準備時間を短縮できるだけでなく、精度が上がります。
Step 3:リファインする
さらに、次を行うことで「質」を高められます。
第三者のレビューを受ける
一晩寝かせて、違った視点で読んでみる
音読してみる(句読点や誤字脱字を見つけるのに有効です)
「音声読み上げ」も有効です。
いまならChatGPTなどに投げて、推敲するのも有効です。
書き出しは「型」(フォーマット)を意識する
次のような「型」を意識して組み立てるとよいでしょう。
A. 「ベースとなる現状」→「接点」
まずは「ベースとなる現状」を共通認識として挙げ、それによって、聞き手にどのような変化が求められているかの「接点」を説明します。
B. 「お困りごと」→「問題解決」
“あるある”の「お困りごと」を提示することで自分ごととして認識いただき、その解決方法を提示していきます。
“期待”との一致
すぴかあやかさんが、以前、こんなツイートをされていました。
「何が聞けるのか」についての精度を高めましょう。ミスマッチは全員が不幸です。「これは扱わない」「この人は対象外」を明示するのも有効です。
まずは「シナリオありき」
セッション概要を提出段階では何を喋るかについての解像度が低い状態。
概要を作成する段階で、全体の尺や参加者属性などを加味しながら、セミナーとしての全体像をイメージし、次の内容をラフに書き出した「たたき台」を作成するとよいでしょう。
何を取り上げるのか
どこまで掘り下げるのか
どの順番で伝えるのか
ゴールはどこか
シナリオ(構成案)として形にすることで、次のようなメリットが生まれます。
依頼者に「こんな方向性で間違いないですか?」と提示し、すり合わせできる
告知内容(期待値)と実際の内容との差が少なくなる
「あ、これも入れておこう」と“カラーバス効果”が生まれる
準備を進めていくと、当初の告知内容では一致しないことが生じます。その際には、セッション概要をアップデートし、更新を依頼しましょう。
フォローアップは先に作る
私の主催するセミナーでは次のような「フォローアップ」を必須としています。
スライド(のダウンロード)
リンク集
補足(言い残したこと、深掘り)
「セミナーの準備 → セミナー → フォローアップ作成」と考えがちですが、逆で、「セミナーの準備/フォローアップ作成 → セミナー」の意識で進めるのがオススメです。もちろん、終了後に追記は行います。
これによって、次のようなメリットが生まれます。
終了後、すぐにフォローアップを提供できる → 聞き手(参加者)に喜ばれる
終わってからだと(心理的に)“しんどい”
「次に〜のセミナーに出演します」を告知する際の材料としても有効です。
備考
日付に関して
セッション概要は数年後に読まれることもあります。「今年」などの相対表現のみを避け、「今年(2022年)」のように絶対表現を添えましょう。
たとえば著書の発売日に関して「2022年10月14日」は粒度として細かすぎます(=聞き手にとって情報が詳細すぎる)。
→ 「2022年10月」
→ 3年以上前であれば「2014年」
これも“数年後に読まれる”を想定する上で適切です。
用語や表記、ワーディング(言葉の選択)
その他、用語や表記、ワーディング(言葉の選択)に関して別の記事にまとめていますのでご覧ください。
その他
箇条書きからスタートするのは不自然です。
セッションタイトルに関して
「あえて違和感を残す」という方針もありますが、セオリーを挙げます。
ポイントは2つ。
タイトルらしさ
運用しやすいこと(告知や配布物などに用いられるときの使いやすさ)
文章でなく言い切りに
タイトルに「ですます」を使わずに、言い切りや体言止めを使います。
だとタイトルっぽいですが、次のように書くと、タイトルではなく、セッション概要(紹介文)のニュアンスです。
「。」で終わらない
新聞の見出しを考えてみてください。「。」で終わっていたら不自然です。
括弧の扱い
セッションタイトルを括弧で囲うことがあるため、タイトル内に括弧の扱いに困ってしまうことがあります。
↓ ↓ ↓
「「エリア内文字+アピアランス」で広がるテキスト表現の効率化と可能性」と二重にするわけにはいかないので、
ポエムにしない
楽曲のタイトルではないので、長くエモいだけのタイトルは避けましょう。
改行しない
「ここで改行したい」と思っていても、セッション概要は掲載スペースによって意図通りに改行されないことがあります。
「!」の後のスペース
疑問符(?)や感嘆符(!)の後にはスペース(半角スペース)を入れましょう。
その他のポイント
対象者(聞くべき人)は誰かがわかること
聞く意味(聞いた後の変化)がわかること
数字を使うと強い
以上です。続きはありません。
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