4つの軍事用語とプロダクトマネジメント
センキャクでプロダクトマネージャーをしている@knt_iwmです。
米国金融専門誌で2年連続Best CFOを受賞されたANDPAD社CFOである荻野氏が ALL STAR SAAS CONFERENCE 2023でバーティカルSaaSの戦略についてお話されていました。(pmconfセッションの話じゃないんかい…)そこで、戦争で使われた4つの軍事用語(戦略、作戦、戦術、兵站)と比較してプロダクトの戦略を語られており、とても勉強になりましたので、自分なりに噛み砕いてみます。
長く戦争で使われてきた考え方をプロダクトマネジメントに上手く適用できれば、強力な武器になるのではないかという下心からこの記事を書いています。
戦争で使われた4つの軍事用語
戦略、作戦、戦術、兵站とは
まずそれぞれの定義です。その後、作戦と兵站について書きます。(戦略と戦術の関係はこれまでも馴染みがあるため詳しい紹介を割愛します。)
戦略 (Strategy): 長期的な目標と全体的な方向性を定める計画。組織のビジョンや目的を達成するための大局的なアプローチ。
作戦 (Operations): 戦略的目標を達成するための具体的な行動計画。中期的な計画や一連の活動を指し、戦略を実現するためのステップ。
戦術 (Tactics): 具体的な状況や課題に対処するための方法や手順。実際の状況に応じた具体的なアクションや意思決定。
兵站 (Logistics): 必要な資源やサービスを適切な場所に、適切な時期に提供するための活動。資源の管理と効率的な配分に焦点を当てる。
作戦は、戦略と戦術の中間に位置づけられています。海上自衛隊幹部学校運用教育研究部1等海佐である北原氏は、作戦が必要になった背景を以下のように述べています。
作戦は、戦術を実施するタイミングや順序を考慮した戦略を達成するための行動計画と言えます。
一方、兵站はLogisticsとも言われており、Wikipediaでは以下のように定義されています。
つまり、作戦や戦術を実行するための補給をどのように現地に配給するかという後方支援の役割を担うのが兵站になります。
いちばん大事なのは兵站
引用元の記事では、日本の太平洋戦争の敗戦を振り返り、兵站の重要性を説明しているので、歴史に興味がある方は、ぜひ見てみてください。
具体で考える(コアラマットレス)
今までは、戦略と戦術のセットで完結していると考えていたため、作戦と兵站の重要性は歴史が証明していると頭では分かっていても、なかなか腑に落ちません。プロダクトマネジメントの世界で、より具体的に4つの軍事用語について考えてみます。今回は、愛用しているコアラ社のコアラマットレスを例に挙げます。
戦争における、戦略、作戦、戦術、兵站については、日本の太平洋戦争を例に最後に参考としてまとめているので、気になる方は見てみてください。
現在コアラ社は、マットレスに限らず、ソファーや収納家具など、商品を拡充していますが、今回は、コアラ社を大きく牽引してきたマットレスに絞り分析しています。
まとめ
コアラマットレスに関しては、本来兵站であるD2Cモデルの構築がそのまま、戦略の肝となるくらい当時、強烈な差別化となっていることが分かります。このことからも兵站が重要であることが分かります。
戦略は方向性を示し、作戦でその戦略を実現するための計画を立て、戦術によって具体的なアクションを起こし、兵站が必要なリソースを提供しつづけることで、成功に近づきます。
先程よりも個人的にはだいぶ理解が深まってきましたが、これはこれで、具体的すぎているので、今度は、抽象化して汎用的に使えるように整理します。
抽象で考える(SOTL)
Strategy、Operations、Tactics、Logistics の頭文字をとりました。順番が大事です。読み方は分かりません。
ビジネスを考える上で、一般的な考え方や、指標をこの4つのフェーズに当てはめて、以下に整理しました。まだまだ雑なまとめ方だと感じており、定期的にアップデートしていきたい気持ちです。(忘れてそう…)
最後に
長い歴史で使われてきた4つの軍事用語は、普遍的であるがゆえに、プロダクトを成功に導くための有効な考え方の一つになるのではないでしょうか?
この記事が、プロダクト戦略や製品ビジョンにコミットすることが求められるプロダクトマネージャーのみなさんの少しでも助けになれば幸いです。
次は孫氏の兵法でもやろうかな…
(参考)太平洋戦争の戦略、作戦、戦術、兵站
太平洋戦争における、日本の戦略、作戦、戦術、兵站に簡単にまとめているので、興味がある方はどうぞ。間違った認識をしていましたら、修正させていただきます。
戦略 (Strategy)
日本の当初の戦略は、アジア太平洋地域へ資源確保のため進出を進めつつ、それに反対している西洋列強の影響力を排除する必要がありました。
作戦 (Operations)
真珠湾攻撃を実行し、その後のミッドウェー海戦で米国の太平洋艦隊を決定的に打ち破り米国海軍及び米国民の戦意を挫く作戦を立てました。真珠湾攻撃では奇襲が成功したものの、ミッドウェー海戦では、真珠湾攻撃で米国の補給資源である乾ドック(修理施設)を攻撃できなかったことが仇となり大敗を期したと分析されています。
戦術 (Tactics)
日本海軍は、夜間攻撃や航空機を用いた奇襲攻撃などの戦術を得意としていました。特に、真珠湾攻撃は、奇襲戦術の典型的な例です。
兵站 (Logistics)
日本は、広大な太平洋地域にわたる戦線を維持するために、長距離の補給線に依存していました。しかし、これらの補給線は、米国の潜水艦による攻撃に非常に脆弱で、戦争後期には資源不足が深刻な問題となりました。
(参考)リンク
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