12月短歌
スマホが壊れたときのために今までの短歌をここに置いておきます。
もう僕に優しくしないで冬空で冷たくなったガラスが割れる
冬枯れを好きだときみが言ってから僕の世界は紅く色づく
そうですか僕の意識の問題で過労死ラインを超えたんですね
冬枯れの野辺に体を横たえて来るはずのない春を夢見る
薪割りのように包丁振り上げる我が子のお料理手伝い入門
滅多には人は死なないからあなた俺が死ぬまでそんなんなんでしょ
独力で抜け出せなくなるでしょうから今日も私はあなたに優しい
晴れていても明度の低い冬の海 あの海色が私のふるさと
アーノルド・シュワルツェネッガーなら跳べるあの鉄橋から跳ぶ妄想す
無理するのも無理せざるのも無理なので迷惑かけて部屋で寝ている
眠っても眠ってもまだ眠いのはこちらの方が夢だからかと
熊撃つな鯨を捕るなと吠える人 俺が死んでもどうでもよさそう
この世から俺が消え去りなくなったあとに素敵な笑顔生まれた
ラーメンとライスを食べる我だからグラコロバーガーなんて気にせず
仕事でも俺はそんなに笑えない 飲み屋の姐さんへのリスペクト
一人でもいいのさ大衆居酒屋へ人の活気を酒で浴びよう
旅人になってやるのさ見も知らぬ町でうまくやっていく夢見る
私はねここでね歌を詠むんです誰にも言わず大衆居酒屋
あなたからもらったチョコを冷凍し恋心さえ長持ちさせたい
半額のシールが貼られるまでだれも手に取らない綺麗な上寿司
久々に筋肉痛を実感し「俺、生きてる」と笑う同僚
表情と感情との間にある距離が遠すぎ息切れ起こす
迷惑をかけるなと言われ迷惑をかけずに生きていけない人生
生きていることばっかりが苦痛です死ぬことだけが救いになる夜
俺がこうして生きていることがもう罪なんですねだから辛いの
過去の人々たちよりも電磁波を受けた私のアンテナの高さ
電磁波を受け続けたから世の中の苦しさ辛さが過剰に痛い
たとえば余命一年と告げられて 後悔するだろうなこの生
俺だって記載しなくてよい税もかからない大金がほしいわ
友だちが一月前に「心配」と送ってくれたメールを眺める
ありがとう私のことを忘れずにいてくれたことだけがうれしい
「心配」と声かけられたうれしさを感じる前に消えてたかった
歌という方舟に乗り魂も肉体さえも運んでゆきたい
男とは家族を守るものだから家も安住できない戦地
家族など持てない 自分一人さえどうにもできない男であるのに
男気も甲斐性もない者なので一人でごみの中に埋もれる
うず高く積み上げられたごみ 部屋の真ん中でいつ迎えは来るのか
「大丈夫あなたは一人じゃない」というみんなは遠くで僕を見ている
深夜2時あなたが起きてるはずもない時間に送る「さよなら」の声
眠ってる間に届いた取り返しつかない声に呆然としてね
取り返しつかないメールを数時間見逃してたこと後悔してね
寿司カレーラーメン焼き肉ピザビール今日受けた傷帳消しにしたい
クリスマスパッケージ寿司家族向け装飾を取り一人食う夜
年を食うごとに他人事になってゆくクリスマスという聖夜の独身
蜂楽饅頭のようだね明け方の黄色い黄色いあのお月様
仕事納めとは休日出勤をしなくてもよい奴の戯れ言
「来年もよろしく」と言い別れたのに何故だか今日も職場で挨拶
俺たちのプライベートを生け贄に休める人の冬休みかな
どうせまた勝手に仕事をしていたということにされ逃げ回られる
もし死ねば重い責任取ってくれますよね?例えば裁判沙汰で
本年も大変お世話になりました 来年もまた三十一文字で