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石岡瑛子 I デザイン

 兵庫県立美術館で開催されている「石岡瑛子 I デザイン」を見に行きました。今回の展覧会の石岡瑛子さんのお名前を今まで知らなかったものですから、大阪中之島でやっている「つながる私(アイ)」と「アイ」という音が共通しているので混同していました(ポスターのデザインに使われている色も赤が共通していたので余計に…)。

石岡瑛子(1938-2012)は広いジャンルで活躍したデザイナーで、1960年代に資生堂に入社して前田美波里を起用したポスターなどで活躍し、その後独立したそうです。

美術館入口のパネル

最初の展示室には、その資生堂のポスターが展示されていて60年代にこんなに大胆なポスターを?と少し驚くような、日に焼けた健康的な肌の前田美波里さんが白い水着を着て砂浜に横たわり、こちらを挑戦的な目で見つめている構図です。いただいた資料によると、当時の広告は男性デザイナーが作っていて、お人形のような美人であることに疑問を抱いた石岡さんが今までの美の基準をくつがえすイメージにしたいと思い打ち出したそうです。

その後独立した石岡さんは、開業間もないパルコの広告を手掛けます。

「あゝ原点。」 PARCOポスター(1977)

上の「あゝ原点。」はインドで撮影したのだそうですが、女性たちの撮影許可が下りなくて苦労したそうです。その村では男たちの合意を意思決定のルールとしていたとかで、連日の寄り合いが持たれ数週間待たされたそう。
色とりどりの衣服、年齢の幅も結構ある女性たち。赤い色が印象的です。

「わが心のスーパースター」 PARCOポスター(1978) 

パルコのかっこいいポスターを眺めて歩きながら、そういえば昔、パルコってお洒落な人が洋服を買う場所、みたいに思ってたなあ、なんてことを思い出したりしました。

インスタントコーヒー「マキシム」コーヒーセット など

上のようなパッケージのデザインもされていたのですね。右側の円筒の商品は山本海苔ですが、マキシムのパッケージとなんとなく共通点があるように感じました。

ポケット・サイズの未来 角川文庫SFフェア ポスター

角川文庫のポスターも数多く手がけていて、上のポスターは制作年が不明のものだそうですがポスター上部の文庫本を見ると筒井康隆、星新一、小松左京、眉村卓、半村良などの良く知っている名前があり読んだことのあるものも結構ありました。小栗虫太郎の名前もありました。ポスターのデザインもすごいものが多いけど、自分が知っている名前、懐かしい名前が書かれているものが結構あって、そこに反応してしまう私なのでした。

第10回東京国際版画ビエンナーレ展ポスター

上のポスターの靴は、自分が履いていたものをコピーしたそうです。びっくり。版画ビエンナーレのポスターで、自分も版画で参加したくなったので思いついたアイデアだと書いてありました。

ドラキュラ(日本語版)ポスター(1992年)

広告だけではなく、ブックデザインや映画の美術監督、マイルス・デイヴィスの「TUTU」のパッケージなど国際的な活躍をしました。上の「ドラキュラ」では衣装デザインでアカデミー賞を受賞しているのですが、宣伝ビジュアルまで手掛けていたそうです。現場での信頼もきっと厚かったのでしょう。

会場では石岡さんの最後のロングインタビューの音声が流れ、映像とともに楽しめるようになっており、多くの方が聴き入っていました。

展覧会を見た後は、いつものJICA関西食堂でランチをいただき、そのあと美術館の周りを散策しました。いつもは電車で山側から美術館に入るので、海岸側には殆ど行ったことがなかったのです。思い立って海岸側へ歩いて行き、今まで入ったことのなかったAndo Galleryにも入ることができました(あることは知っていたのに、行き方が分からず行ったことがなかったのですよ…)。

ヤノベケンジ 《Sun Sister》

兵庫県立美術館は安藤忠雄さんの建築で、美術館の中も迷宮のようで初めて展覧会を見に行った時には展示室を出てから館内で迷ったことがあるほどです。今回、初めて外の階段を昇ったり下りたりしました。やはり、外側も複雑な作りになっていて青りんごに辿り着くまでかなりウロウロしました。
観光客の方がかなりたくさん外の階段にいらして、青りんごなどのパブリックアートを撮影していました。展覧会を見なくても、こんな風に建築を楽しんだりアートを楽しんだりできるんだなーと、階段をウロウロしすぎて重たくなった足を引きずりながら思ったのでした。

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