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北斎と広重 後期展

大阪の中之島にある中之島香雪美術館で開催されている「北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより 」の後期展を見に行きました。

前期を見に行った時の記事はこちらです。展覧会のストーリー的なものは、そちらの記事をご覧になって下さい。

今日は午後から用事があったので、午前中の早いうちに行って見てしまおうと思い10時半くらいに到着したのですが、もう既に結構な数の方が入っており、会場の中の係の方が「見る順番は決まっていませんので、お好きな絵からご覧になってください」と声をかけて下さっていましたが、最前列で見ようと思うと自由に歩き回るのは難しいような状況になっていました。入場規制も行われたようです。

『鎮西八郎為朝外伝椿説弓張月』後編巻之一
曲亭馬琴作 1808年

北斎が挿絵を描いた版本です。波の細かい描写がさすがだなと思わされますし、後の神奈川沖浪裏の片鱗の見える描き方です。
北斎は絵に関しては好奇心旺盛というか勉強家というか、当時の新しい技術を積極的に取り入れて表現に生かしていました。透視画法を使って描いた「浮絵」と呼ばれるものもありますし、西洋の銅版画も目にしていたらしく、木版画で銅版画風に作り上げた「阿蘭陀画鏡・江戸八景」というものも描きました。

北斎漫画より

上の北斎漫画の右上にあるのは、「三つわりの法」として透視図法について図解しています。ちょっとこれは独特な方法で、画面の下から3分の1のところに地平線を配し、消失点を2つ設けるというものです。北斎は、実際に富嶽三十六景などでもこの方法を用いて描いているそうです。

富嶽三十六景 凱風快晴

通称「赤富士」とも呼ばれている代表作です。空の青(ベロ藍の色ですね)と夏の日の早朝の赤く染まった山肌の対比が鮮烈です。

富嶽三十六景 甲州三坂水面

これはとても不思議な構図で印象に残りました。夏の季節で富士山に雪はありませんが、水に映る富士山には雪が。また、水に映っている位置も上下が対称になっていません。どんな意図があってのことでしょうか。

東海道五拾三次之内
原 朝之富士

広重の描いた富士山です。北斎の富士と比較できるかなと思い、撮影しました。広重らしいと思うのは、富士の山頂が枠からはみ出しているところです。広重は風景の描写に誇張をあまり入れず、見たままの風景を描くことに徹した人でした。見たままの風景の、どの部分を切り取って画面に入れるのか、どこを見せると伝わるのか、良く分かっていた人なんだと思います。

忠臣蔵 夜打二 乱入

広重の忠臣蔵です。浪士たちの描写が詳細に描かれています。また、竹のしなりを利用して雨戸を破るという場面を描くという工夫が見られます。
今回の展覧会では北斎と広重、どちらも忠臣蔵を題材にしたものを展示してくれていて、2人の描写の違いを比較して見ることができました。

大阪中之島の風景

今回の中之島香雪美術館の展覧会は、予想以上に多くの方が見に来ていて、やっぱり北斎や広重は人気なんだと改めて感じました。
次回展の詳細が発表されていますので、フライヤーをいただいてきました。次回は和泉市久保惣記念美術館所蔵品展だそうです。

フライヤーの表面にはモネの「睡蓮」がドンと印刷されています。久保惣さんの睡蓮は、大阪中之島美術館のモネ展でも展示されていましたね。また中之島でモネに再会できますよ。

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