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テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本
神戸市立博物館で開催されている「テルマエ展」を見に行きました。ヤマザキマリさんの「テルマエ・ロマエ」で古代ローマの浴場文化が日本中に知られましたが、今回のテルマエ展では日本の公衆浴場の文化にもスポットを当てて、巡回展ですので巡回先の土地の温泉の資料なども含めて楽しめる内容になっていました。
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上の像はポンペイの家から出土したテラコッタ像で、このような像の他にポンペイからの出土品の展示が多くあり、古代ローマの人々の生活が想像できるような資料でした。ポンペイと言えば、以前大規模なポンペイ展で見た「炭化したパン」が人気でしたが、今回はこのパンのレプリカの展示があってショップでもパンのグッズが多数販売されていました。やはり人気が高い資料なのでしょうね。
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上の物体もポンペイからの出土品で、病人の身体から毒素を吸い出すために用いる道具だそうです。これを見て思い出したのは、大相撲の力士の背中に時々赤い丸がついている時があって、治療としてカッピングっていうのでしょうか、吸い出しの治療をするのですよね。それと同じことをローマの人もやっていたのかなと、面白く思いました。
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古代ローマのテルマエは、大衆が美術品を身近に見ることのできる場所でもあったそうです。モザイクの床は色とりどりに美しく、大理石の彫刻も飾られていました。浴場の建設者の肖像、神々の像、古代ギリシャの有名作品のコピー、浴場に飾るにふさわしい主題のものが多かったようです(ヘラクレスもその一つですね)。
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こちらの模型は、東京造形大学デザイン学科の方々が作られたもので、カラカラ浴場の復元模型です。これの横では「古代ローマのテルマエ」という映像資料が上映されていて、大規模なテルマエがどのような施設だったのか想像しやすい資料でした。運動場があったり、サウナのような高温で汗を流す部屋があったり、水の張られたプールがあったり、なかなか充実した大施設だったことが分かりました。
こうした入浴施設があったのは、古代ローマの都市部には水道施設が発達していたこと、周辺の地域から職を求めて人々が集まり「大衆」と呼ばれる人たちがいて、娯楽が発達する文化があったこと、などの理由がちゃんとあって、江戸にちょっと似てるかなと思いました。
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…というところで日本の入浴文化の展示です。
神戸には有馬温泉がありますので、まず有馬温泉関連の資料がたくさん展示されていました。有馬温泉は、豊臣秀吉が力を入れて復興させたと言われており、それに関連した「有馬茶会記」や「豊臣秀吉像」などの展示がありました。また、江戸の湯屋の復元の映像や、入浴施設を描いた浮世絵などもありました。
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石鹸は、天文年間にポルトガルの交易船で日本に入ってきたと言われますが、明治になってからは国内で製造されるようになりました。「花王石鹸」が初めて発売されたのが明治23年、1個あたり12銭(かけそば12杯分の値段)という高級品だったそうです。また、上の写真は固形のシャンプーで、昭和7年の発売でした。明治時代までは粘土やふのりを使って髪を洗っていたのが、大正から昭和初期に「髪洗い粉」が普及し、ようやく昭和7年にシャンプーが発売されたということでした。←思ったよりシャンプーは最近のものだったのですね…
また、いわゆる「内風呂」はさらにもっと新しく、昭和も20年を過ぎてから30年代に増えてきたものだそうです。
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テルマエ展を見た後は、コレクションルームで(大好きなので毎回見ずにいられない)素晴らしい国宝の銅鐸を拝見し、コレクション展も見ました。
古地図のエリアにはテルマエ展と連動した「温泉と絵図」の特集がありました。江戸時代になり、人々が旅に出る余裕ができて道路が整備されてきたから温泉が発達し、湯治に出かけるようになり、地図にも温泉地が記されるようになったのですね。
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神戸出身の川西英の木版画の特集もありました。この人と神戸市立博物館に縁のある池長孟氏とのエピソードなども解説に書かれていて、温かい雰囲気の木版画に描かれた神戸のモダンな様子を楽しみました。
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川西英 木版
これからテルマエ展をご覧になる方は、ぜひコレクションルームもお楽しみくださいね。
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