細見美術館と相国寺承天閣美術館へ
京都市内にある細見美術館と、相国寺承天閣美術館へ行ってきました。
細見美術館は開館25周年記念展第一弾として、「愛し、恋し、江戸絵画--若冲・北斎・江戸琳派」という展覧会をやっています。こちらの美術館が所蔵している若冲作品は面白いものが多く、楽しみにしていました。
今回の記念展では、前理事長の細見實氏と奥様の有子氏が蒐集した江戸絵画を展観するというもので、若冲はもちろん北斎の肉筆、酒井抱一に始まる江戸琳派の数々の作品が並んでいました。
若冲の作品は、鶏を題材にしたものはもちろんですがこちらの写真のようなサラッと描きつけたような変わった題材のものもあり、若冲という人がたくさんの抽斗とユーモアを持っていたということが分かります。以前にも見て楽しいと思った「鼠婚礼図」の展示もあり、小さな生き物に対する優しい視線を感じました。若冲は他の絵師とは違い、自分の心のままに好きなものを描いていたのかなあと思いました。
北斎の肉筆は「五美人図」と、上の写真の「夜鷹図」が並んでいました。私は、宗理の時代の肉筆が好きで、こちらの夜鷹図も本当に上手いと思いますし独特な味のある描き方だと思います。もちろん、五美人図のようなしっかりとした描線と細かい模様まできちんとリアルに描いた肉筆画も素晴らしいものです。
江戸琳派からは、抱一や其一、池田孤邨などが出ていました。また、本阿弥光悦の墨書、土佐光吉の源氏物語図色紙「初音」も展示されていました。
今回の展示は前後期に分かれており、一部展示替えがあります。また、チケットを購入した時に次回の来館時に使える「リピーター割引券」をいただけて、25周年記念展1と2が200円引きで見られます。
そしてバスで移動、同志社大学前で降りて相国寺承天閣美術館です。関係ないですが同志社大学は規模が大きくて建物は重厚、歩いている学生さんたちは賢そうで上品、横を通るだけで何だか気後れしてしまいます。
そんな立派な同志社大学の横を通って相国寺へ。広い相国寺の敷地の中に美術館があります。こちらの美術館は、入口で靴を脱いで鍵付きの靴箱に入れて中に入るようになっています。今回の展覧会は「若冲と応挙」のⅠ期です。
今回の展示は、若冲は有名な「動植綵絵」のコロタイプ複製三十幅と釈迦三尊像を中心にした展示です。動植綵絵は原本は宮内庁に献上されて現在は三の丸尚蔵館にありますので、相国寺ではコロタイプ複製を使用して法要などを行っているそうです。複製とはいえ色も大きさも実物とほぼ変わりのないもので、三方の壁に釈迦三尊像を真ん中に全三十幅をずらりと並べているのを見ると圧倒感があります。そして、鮮やかな彩色は若冲のずば抜けた感性を感じさせられます。
第二展示室は応挙の「七難七福図巻」を中心にした展示でした。七難は天災巻と人災巻に分かれており、最後は福寿巻で全三巻になっています。滋賀の円満院の祐常法親王の指示のもと三年の歳月をかけて当時36歳だった応挙が描いた大作です。依頼者の祐常の下絵も展示されていて、応挙がその下絵を見て素晴らしい画力でリアルな絵巻を完成させたことが分かります。
人災巻などは余りにも絵が上手すぎて残虐なものは本当に残虐なもので、私の前方でご覧になっていた女性が思わず「これはひどい…」と口に出てしまったのを聴きました。また、天災巻の中には大火があったり(天災という考え方なんですね、火事は)、大蛇に襲われるとか(本当に大きな大蛇!)面白かったです。Ⅱ期は応挙の屏風などが出てくるそうですので、それも見に行きたいと思います。