もしも猫展
京都文化博物館で「もしも猫展」を見てきました。文博へは烏丸で下りて北の方へ歩いて行きました。これが真夏だったら10分間程度歩くのも死にそうなところですが、今日は秋晴れの爽やかな良い天気でしたので歩くのも全く問題なしでした。
会場入口のパネルに書いてあるように「猫が人だったら、人が猫だったら。」がテーマの展覧会で、大の猫好きであった国芳の作品を中心に、猫を擬人化したり役者を猫にした(擬猫化?)作品をたくさん見ることができました。
上の作品は猫が曲鞠を楽しんでいますが、これの隣に錦江斎春艸「墨摺報条 風流曲手まり」が展示されていて、猫たちと同じポーズで曲鞠をする袴の男性たちが描かれていました。同じように、玉乗りをする猫たち、人間たちなど比較しながら楽しむことができました。
また、「擬人化の効能」というセクションでは、古くは室町から桃山時代、江戸時代から明治時代にかけてのいろいろな擬人化作品を紹介していました。大名行列になぞらえた虫たちの行列とか、動物たちの物語絵とか、猫と鼠が酒盛りしている絵とか←これは大津絵と国芳を比較する形で並んでいました。面白かったです。
上は芳年です。師匠の国芳ゆずりの生き生きした猫たちの動きですね~。芳年や芳幾はもちろん、広重の錦絵も何枚かありましたし(有名な名所江戸百景の外を見る猫さんもあった)河鍋暁斎、国貞や豊国なんかもありました。絵師の皆さん、猫が大好きな人が多いのねーと思いながら見て歩きました。
上は3枚をコラージュしてみました。上が画稿で、それをもとにした団扇絵2枚です。猫だらけです。
これは国芳の「流行猫の狂言づくし」の下の方に貼ってあったものですが、次郎直実は普通は日の丸の扇を持っているのを、猫なので蛸柄の扇を持っているという解説みたいな、見方を教えてくれる意図なんだと思います。面白いので撮影してみました。
上は『枕辺深閏梅』下巻口絵より、国芳の自画像です。猫に囲まれています。ほんと、猫が大好きだったんでしょうねえ。展覧会の最後の最後に、これが出てきました。
展覧会の一番最初の展示が、芳幾の描いた「国芳死絵」で最後に出てきたのが自画像で、いやー上手な構成だと思いました。
全体的に、国芳が役者を猫にして描いたものには同じ役者をちゃんと人間の顔で描いたものを比較できるように展示してあったりして、分かりやすく面白い展覧会でした。猫好きな方、浮世絵好きな方におすすめしたいと思います。
「もしも猫展」を見た後は、エスカレーターで下に降りて総合展示も見ました。文博さんは、昔あった「池大雅美術館」から受け継いだ大雅のコレクションを所蔵していて毎年総合展示の中で「池大雅展」をやってくれています。大雅が幼い頃に書いたと思われる「金山」という書や、「高士訪隠図屏風」など名品を見ることができて良かったです。