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お水取り@奈良国立博物館
いま、東大寺二月堂で修二会が行われていて(3月1日~14日)それに合わせて奈良国立博物館で特別陳列「お水取り」の展示が始まっています。平成9年から毎年、この時期に行われているそうです。
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/feature_exhibition/202402_omizutori/
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「お水取り」とは若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式のことで、この行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな松明(たいまつ)に火がともされるそうで、このため「修二会」は「お水取り」・「お松明」とも呼ばれるようになったそうです。
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修二会は天平勝宝4年(752年)に実忠和尚によって始められたといわれ、1270年を超える長い歴史をもち、南都炎上や戦国時代の争乱、空襲の危機などの困難があっても「不退の行法」として一度の中断もなく続けられてきたものだそうです。その資料も奈良時代のものから現代のものまでが展示されており、「二月堂修中過去帳」(5日と12日に読み上げるものだそうです)の最初には聖武天皇の名前があり、長い歴史を感じさせられました。
練行衆の衣装の展示は実物大の動きのあるお人形が着用して展示されていて、紙でできた衣を本当に着ているんだ~と感心したりしました。
また、江戸時代の練行衆の日記には二月堂の炎上事件についての生々しい記述が書かれていて、展示されているものは「第二十」という20冊目のものなのかな、まさに歴史の積み重ねが記されている貴重な史料なんだなと感じました。
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名品展「珠玉の仏教美術」のコーナーには、淡路島の南あわじ市で発見された「松帆銅鐸」の特別公開がありました。この銅鐸は2015年に発見されたもので、それぞれに「舌」という音を鳴らすための部品がついていて、舌の一部には吊り下げるための紐や、その痕跡が残っていたのだそうです。この発見によって、初期段階の銅鐸は音を聞く銅鐸であることが明らかになった、まさに大発見だったそうです。
これらの銅鐸は大きいものに小さいものが入れ子になって埋められており、その埋め方も珍しいものだそうです。
銅鐸好きとしては、この松帆銅鐸の中にも島根県で見た加茂岩倉銅鐸や荒神谷銅鐸との兄弟銅鐸があることも分かっていて、それもまた面白いなと思いました。
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(愛称アイーン像)
お昼を食べた後は「なら仏像館」でたくさんの仏像を眺めてきました。金峯山寺の金剛力士立像のお二方はまだいらして、それと同じお部屋に上の写真の「力士立像」が。この方のポーズがアイーンに似ているということで、アイーン像とも(親しみを込めて)呼ばれている像です。この方、ポーズも面白いのですがお顔もちょっと変わっているというか、愛嬌があるというか、でも美しい肉体で横から見た背中から腰のラインなど理想的な曲線でした。
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本当は東大寺にも行きたかったのですが、あいにくの雨と寒さで断念しました。東大寺ミュージアムでも二月堂の特集展示をやっていて、奈良博と両方の展示を観覧した人に特製の散華をプレゼントしていたそうなんですよね。
もしも行く機会がありそうな方は、東大寺へも是非。
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