横尾忠則 ワーイ!★Y字路
神戸市にある横尾忠則現代美術館で「横尾忠則 ワーイ!★Y字路」を見ました。阪急の王子公園駅から動物園の方向へ歩いて5,6分くらいでしょうか、王子公園駅から兵庫県立美術館へ続くミュージアムロードの北の端あたりに位置しています。
今回のY字路は、横尾さんが自分の故郷の西脇で夜の三叉路をストロボ撮影したことがきっかけで「Y字路」シリーズを描くようになり、ライフワークのように描き続けることで様々なバリエーションを生み出して、Y字路20周年記念で2020年に開催する予定だったものがコロナ禍で延期になり、今年ようやく開催できるようになったというものだそうです。
2000年に描いた最初期のY字路は、ストロボ撮影をした写真そのままという感じです。ストロボの光が真ん中の建物に当たって白く明るく見え、左右に伸びる道は奥に行くほど暗くなって、ちょっと怖いというか、どこに続いているんだろう?と不安になります。
「松島の熱」は2003年で、横尾さんは旅行先でY字路を探して写真を撮り、それを絵にする…ということをされていたようです。松島は私自身の実家の近くなので、ちょっと嬉しくなってしまいました。画面の右の方から赤い光が当たっているように見えます。8月に開催される花火大会かなと思いました。
上の3枚は連作です。同じ場所の時間の経過を描いていると思われますが、よーく見ると角の建物の前に立っている標識が変わったりしています。この不思議感が横尾忠則ならでは、という感じです。
アメリカの同時多発テロの起きた日付がタイトルになっています。と言っても、テロのイメージで描いたものではなくて、テロの映像をテレビで見た横尾さんはショックで描きかけのY字路を描くことができなくなり、その描きかけの状態の絵がツインタワー崩壊後の廃墟のイメージだと感じ、加筆をせずにそのままの状態で「完成」としてテロの日付を書き入れたのだそうです。これはとても印象的な作品でした。
ちょっと笑ってしまった作品です。でも、宝塚を見た後にこういう夢を見るのは非常に分かります。
これは2017年の作品です。十和田の観光案内のような、コラージュのような、でもY字路になってますね。
最初期のものは黒っぽい画面で「夜」だと分かるものが多かったのですが、次第に画面が明るくなってカラフルになっていったり、現実なのか虚構なのか、昼なのか夜なのか、左右の道がそれぞれ別の世界に行ってしまうみたいな作品もあり、あまりにも多様なバリエーションで面白かったです。
こちらの美術館では5月25日~8月25日に「横尾忠則 寒山百得展」を開催するそうです。昨年東博で開催されたものの巡回展ということで、(私は昨年見に行ったけど)絶対に見に行こうと思っています。↓去年書いた記事です。