仁義なき戦い ~エディオン北山店死闘編~
半月ほど前のことだったろうか。
夜寝る前にスマホの充電をはじめて朝起きたらバッチリ! のはずが全然できていなくって焦った。コンセントに充電器のプラグを挿し込み直してみても、なんもはじまらない。コンセントを変えてみても状況は同じだ。こりゃ困る。これでは1日もたないぞ。ササっと(スマホで)調べた結果、「ケーブルの断線」が疑わしいと判断。そう言えば最近コンビニでもスマホ周りのモノよく見かけるなと思い、近くのコンビニに行くと、おお、売ってる売ってる、よかったよかった。そうしてめでたく充電復活! したはずだったのだが……。
今朝起きたら、また全然充電できていないのだ。う~ん、そうか。じゃあ、今度はあれだね。きっとアダプターのほうに問題があるんだねと、またまたコンビニへ向かう。ちなみにアダプター探しの旅の同行者はゆみさんだ。そう、あの「事務員越え」のね! さらに越えてゆくために、今日2人で話をする約束だったのです(とてつもなく良い話ができた)。
一軒目。ない。なぜかiPhoneのヤツしかない。じゃあ、2軒目。またない。今度は売り切れてない。そんな売れるもんなの??
アカン。スマホに翻弄されまくっている。まるで現代人代表みたいだ。ゆみさん、ゴメン。
最初から電器屋さんに行けば良かった……と激しく後悔しながら最寄りの電器店へと車を走らせる。スウィングからほど近い京都・北山には「マツヤデンキ北山店」と「エディオン北山店」が、北山通りを挟んでほぼ向かい合わせにある。だからどっちへ行っても良かったのだが、僕は「マツヤデンキ」のほうを選んだ。なぜならマツヤデンキのほうがエディオンよりも小さいし、品揃えもイマイチだし、いつもあんまりお客さんいないし、「ちょっとかわいそうな気がする」からだ。
この優しさでも何でもない、傲慢な大きなお世話のしっぺ返しは、容赦なく我が身に襲い来る。
3度目の正直、失敗。二度あることは三度ある。つまりマツヤデンキにもアダプターはなかったのだ。正確には申し訳なさそうな店員さんに案内されて売り場に行くと、「なんか違うやつ」が1個だけあった。でも、なんか違うからいらない。「今はコンビニで買えますからね~」と店員さん。いや、そのコンビニで2回しくじったからここに来たんだけど……。
くっそ~!!! 最初からエディオン行っとけば良かった!!!
コンビニもマツヤデンキ(←店員さんも親切だしコンパクトだし、いいお店です!)もすっ飛ばして手堅く!!!
ものの20分ほどの間に、おれは何回車の乗り降りをしているのだ???
高速でエディオン北山店に入り、光速で店員さんを掴まえると、あら、まあ、なんてスムーズ! すぐに売り場へと案内され、(たぶん)ダメになったやつと同等の商品を教えてもらう。ああ、ようやく……。なんだか長い旅路だった……。なんか疲れた……。
しかし事件は、本当の事件は「お会計のとき」に起こったのだ。
なんと言うか、エディオン北山店の店員さんは、ほぼ全員が「おじさん」だ。おじさんって僕もおじさんだけれど、もっと年上、もう一世代上、つまりどちらかと言えば「おじいさん」に近い方々が多勢を占めていらっしゃる。
だからと言うわけではないのかもしれない。それは関係ないのかもしれないけれど、とにかくそれは起こったのだ。
レジでお金と一緒に「Tカード」を差し出す。初老の店員さんがカードリーダーに通す。返してもらう。
すると店員さんがこう言う。
「Tカードはお持ちじゃないですか?」
軽くぶん殴れたような衝撃が走り、脳と時間と現実がショートする。
「いや、今、渡して返してもらいましたけど……」
「ああ、そうですか。エディオンのカードはお持ちじゃないですか?」
……ああ、そうですか??? ……動揺ゼロ??? ……すげー。
落ち着きと貫禄(と記憶力)がまるで違う。格が違う。
あ、エディオンのカード? ないです。車ん中にあるけど面倒臭いので「ないです」でいいです。
すると「エディオンのカード」に反応するかのように、今度は隣のレジから声が聞こえる。聞いてはいけない声が聞こえる。店員さん達と同世代くらい、即ち初老の男性(お客さん)が、残念そうな調子でこう言っている。
「エディオンのカードが見当たらへんのよなあ……」
あるはずのカードがなかったなら、それは確かに残念だ。何を買ったのかは知らないが、もし高い買い物をしたのなら尚更だろう。
しかし、僕は思わず目を見開き、再び衝撃を受ける。二発目のダメージは信じ難くデカい。
なぜならその男性は、悔しそうな様子で店員さんに向かって、思い切り「エディオンのカード」を差し出していたのだ。