1年かけて理由が判明! そうめんはやっぱり「茹でない」が正解でした【全文無料】
前回に引き続きそうめんについてのお話。昨年投稿した「茹でないそうめん」のツイートがおかげさまで今年も話題になっています。
実はテレビに取り上げられるのは今年の方が多く、7月14日にはフジテレビの朝の番組「めざましテレビ」で、7月19日には、HTB北海道テレビさんの朝の情報番組「イチモニ!」でご紹介いただきました。
「イチモニ!!」ではスタジオでの食べ比べてもあったのですが、特に麺の状態についてははっきりと違いがあり、普通に茹でたそうめんはダマになってくっついてしまっていたのに対し「茹でないそうめん」は麺がくっつかずにきれいに持ち上がるという結果に。スタジオの皆さんも「茹でないそうめん」の美味しさに本当に驚いていました。
昨年のツイートから1年ほど経っていますが、その間にも「茹でないそうめん」は繰り返し作り、研究を重ねています。
そこで得た結論は「茹でないそうめん」こそ理にかなった方法であるということ。ということで今回は、簡単で楽ちんだけじゃない「そうめんは茹でないのが正解」である理由についてまとめたいと思います。
そうめんを茹でると○○が傷む!?「茹でないそうめん」が正解の理由とは?
Swind式の「茹でないそうめん」の特徴は「フライパン」で調理すること。フライパンに麺を広げ、軽くさばいて麺の一本一本にお湯が行き渡る状態にしてから蓋をかぶせて熱湯に漬け置きします。
そして何度も繰り返して作るうちに気づいたことが一つ。
それは、普通に茹でる時のようにそうめんを沸騰したお湯の中で対流させることは、実は麺にとって良くないということです。
美味しいそうめんには2つの要素があります。一つは「麺のコシ」そしても一つがつるんとした「麺のなめらかさ」です。このうち、そうめんを対流させるのは「麺のなめらかさ」、つまり麺の表面状態に対して悪影響を与えてしまうんです。
普通に茹でる場合を考えてみましょう。ブクブクとしっかり沸騰したお湯の中にそうめんを入れると、しばらくしてぐるぐると激しく対流を始めますよね。
このとき、対流の中では当然麺と麺がこすれあって揉まれた状態になります。また、鍋が小さい場合には麺と鍋もこすれてしまいますし、ブクブクと沸騰した泡が麺に付着して破裂するということも繰り返し起こります。
そうです、これは全部「麺の表面が荒れてしまう」原因になっていたんです。
強火で麺を茹でたときにぶわーっと泡が吹き出してしまうことがありますが、これは麺の表面が水に溶けてしまったことでお湯が粘度を持ってしまうために起こる現象。つまりそれだけ麺の表面が溶けて荒れてしまっているんです。
それを避けるために昔から行われていた知恵が「たっぷりのお湯で茹でる」ということ。十分大きな鍋の中でゆったりと泳がせるように麺を茹でるなら表面の肌荒れも最小限ですみそうです。また、たっぷりのお湯なら激しく泡立つほど沸騰させるのはそもそも難しいというのもあるでしょう。
とはいえ、家庭でそうめんを茹でるのに理想的な状態で茹でられるほど大きな鍋は用意するのが難しいのが現実です。たとえ鍋が用意できたとしてもお湯を沸かすのにも時間がかかりますし、何より暑いです。
一方「茹でないそうめん」ではどうでしょうか?。茹でないそうめんは火を止めてフタをしますので、麺が対流で踊るようなことはありません。お湯の中に静かに吸水していきます。つまり「麺を動かさずに調理できる」方法となります。
茹でる場合にはゆったり泳がせるための「大量のお湯」が必要でしたが、「茹でないそうめん」であればそもそも麺が動くことがありません。したがって「麺に熱と水分が加わるだけに必要なだけのお湯」があれば良いと言うことになります。昨年のツイートから何度も検証を重ねていますが、茹でないそうめんを作るのに必要な水の量は1人前(100g)に対し500ml~600ml程度あれば十分と分かりました。
そうめんが吸う水分量は麺の重量に対しておよそ1.5~2倍程度。つまり100gの乾麺なら150~200ml程度のお湯を吸い込む形になります。とはいえ、あまりギリギリの水分量では吸い込み方にムラが出来てしまうのと、浸しておく間にどんどんと温度が下がり麺に適切な「熱」を加えることができません。そのため、実際には温度変化分も考慮して500ml~600mlがベストとなりました。逆にこれ以上のお湯があっても味や食感にほとんど影響がありません。
「こんなにお湯が少ないと麺の塩分が溶けきらないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、100gそうめんに含まれる塩分量はせいぜい3~5g程度。水100gに対して塩分は25~30g溶けることを考えれば、塩分の観点からも十分すぎるぐらい余裕があります。
ちなみに小麦粉の糊化に必要な温度は80~85℃程度。よほど寒い部屋でなければ湯に浸している間に熱湯がこの温度を下回ることはありません。なので、麺をさばきながら再沸騰させてすぐフタを閉めればそうめんに十分な熱を加えることができます。
とはいえ、小さな鍋に押し込むなど麺が重なり合ったり絡み合ったりした状態で湯につけてしまうと、加熱やお湯の吸収にムラができてしまい、また麺同士がくっついてしまうことも考えられます。そのため麺同士ができるだけくっつかないよう、広さのあるフライパンにできる限り広げて麺を入れるのがベストと言うことになります。
このように「フライパンを使った茹でないそうめん(湯漬け方)」はそうめんにとって最も良い状態をキープしたまま熱と水分を加えることができる方法と言えることが分かりました。
茹で方よりも重要!? そうめんの「冷やし方」こそ味を左右する決め手があった!!
さて、インパクトの強い「茹でない」というキーワードで引きずられてしまいますが、実はそうめんには美味しさを左右する上で茹で方よりももっと大事なポイントがあります。
それがそうめんの「冷やし方」。一般的にはお湯を切った後で貯めておいた氷水に浸すか、蛇口から出る水道水で流すかといった方法が多いと思います。
しかし、残念ながらこれらの方法はどちらも不正解。正解は「予め貯めておいた水(常温)をフライパンで汲んでじゃぶじゃぶとかけまくる」なんです!
その理由はたった一つ。「爆速で麺の熱を取って常温にする」のが重要だからです。
湯切りした麺はざるに入っていることが多いですが、これをこのまま冷水に浸しても水の流れがありませんので内側にはなかなか冷水が浸透しません。そうすると茹で上げた麺を再びかきまぜる必要が出てしまい、麺の肌荒れの原因をわざわざ作ってしまうことになります。氷水を使ったとしてもこれは同じ。むしろ麺の周辺部と中央部に温度差が生じてしまいムラが生じてしまうことになりかねません。
一方、「蛇口から出る水道水で流す」と今度は水量が全然足らないんです。そのまま水をかけてもピンポイントでしか冷めませんし、シャワーみたいな形で水を広げても水の量が少ないと上から入った水が下に伝わるまでに熱を持ってしまい上手に冷えてくれません。
なので、湯切りしたそうめんには一気に大量の水をぶっかけるのがいいんですね。大量の水をぶっかければそうめんの間にしっかり水が流れていき、大量の水が麺の持つ熱を一気に奪っていくことになります。
ちなみにぶっかける水の量の目安は「とにかくたっぷり」。茹でる時の3倍以上は予め用意しておきたいですね。
こうして麺全体の熱をしっかりととってから、わずかに出たヌメリを軽くもみ洗いすれば仕上げも完了。「茹でない」法と合わせ技にすればもみ洗いしてもほとんど白い濁りが出ません。これが「麺の表面が荒れていない」という何よりもの証。そうめんが持つポテンシャルが最大限に引き出された「つるんつるんのそうめん」の出来上がりです。
ということで改めて「茹でないそうめん」の美味しさについて私なりの見解をまとめてみました。百聞は一見に如かず、今回ご紹介したポイントを踏まえながらぜひ一度試してみてください。
こちらの動画でも「茹でないそうめん」の詳しい作り方をご紹介しています
少し長くなりました。最後までご覧頂きましてありがとうございました。
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