映画「ロングショット 僕と彼女のありえない恋」に学ぶ恋愛の前に必要なこと
Amazon Prime Videoで、「ロングショット 僕と彼女のありえない恋(Long Shot)」を観て、これぞ理想のラブストーリーだと、1人噛み締めてしまった。
Seth Rogen、コメディ好きなら一度は名前を聞いたことがあるはずだ。
Charlize Theron、言うまでもない、大女優だ。
この二人がどんなラブコメを繰り広げるのかと思いきや、観終わった後には、ものすごく感銘を受けたし、こんな相手に巡り会えたら、きっと幸せだろうなぁと思った。
昨今、男女の主な出逢いの場所は、マッチングアプリなのではないだろうか。
そこで出逢って、付き合う人も、結婚する人もたくさんいるだろう。
でも、あくまでも、そこでの出逢いは形式ばっていて、感情の揺れ動きがなかなか生まれないのではないか、と思う。たとえば、趣味の話。大体の人は、ステイホーム中に、どっぷり映画を観ていたと思うし、「THE 無難な趣味」の1つである。共通のコミュニティに属していないと、共通の話題はないし、そのうち話題は尽きる。その過程で恋に落ちるのは、至難の業である。最初から、身体目的であれば、話は別なのだろうが・・・。
シャーロットとフレッドは、見た目も、スクールカーストの位も異なるティーン時代を過ごした。ただ二人は、お隣さんで、シャーロットがフレッドのベビーシッターをやっていた。
16歳のシャーロットは見るからに利発で、ブロンドヘアで、同じくブロンドヘアのイケメン彼氏がいた。一方、フレッドは明らかにオタク丸出しな見た目。しかし、二人には「不正に屈しない正義感」という根っこのところで繋がっていた。中身のある話ができる男性は、実に貴重で、勉強ができるとか、そういう話ではない。シャーロットも決して、フレッドのことを気味悪がることもなく、対等な話し相手として見なしていた。
あることをきっかけに、二人の接点がなくなった後も、きっと二人の心の中には、お互いの存在が居続けたのではないだろうか。心の奥底のところで、わかりあえる相手。身体的な繋がりより、よっぽどロマンチックでセクシーなのではないか。
やがて、二人は大人になり、それぞれ全く別の道を歩む。シャーロットは優等生街道まっしぐらに努力し、お風呂の床で寝てしまう位、毎日奮闘している。16歳の頃の正義感、情熱はそのままに、大人としての妥協も身につけていた。フレッドも、ジャーナリストとして、エッジのきいた記事を書き続け、命がけで妥協を許さないジャーナリズム街道を突っ走っていた。
真面目なシャーロットは大統領選に向け、ユーモアのセンスが足りないという指摘を受けていた裏で、フレッドは職を失っていた。お互いの信条をわかり合える者同士、二人は最高のビジネスパートナーになった。フレッドがシャーロットのスピーチ原稿を書くために、シャーロットの出張に同行し、これまでの時間を埋めるかのように、お互いのことを知っていった。その過程で反発し合うこともあったが、それは二人がそれぞれ大切な信条を持ち、真剣に向き合ったからこそのもので、結果として二人の信頼関係はどんどん醸成されていった。
この信頼醸成の結果、二人はお互いの好意を表出させる。
このお互いがたまらなく好き、という感情が爆発する瞬間がすごくよかった。
相手の肩書きでもない、見た目でもない。
人間の皮を何枚も剥がいた、根っこのところの信条。
それに対する尊敬と信頼。
お互いが良い意味で影響し合って、それぞれレベルアップしていく感じ。
とてつもなく、シビレた。
もちろん、セス・ローゲン、下ネタもあるので、ご安心ください(笑)
それはあくまでも、作品の中の1つのエスプリでしかなく、16歳の少女と13歳の少年の頃から持ち続けているプリミティブな人間性を互いに愛し合う様が実に良くて、こういうつながりが本当に羨ましかった。互いに必要とし合っている感じ。
こういう恋愛ができたら、いいなぁと思った。
フレッドも、シャーロットも、それぞれブレずに頑張ってきた、ご褒美なのではないかと思う。小手先のマッチングアプリや恋愛ハウツーの前に、人としての自分を磨くことの大切さを教えてくれた。