【レビュー】放送作家オークラ著「自意識とコメディの日々」若かりしバナナマンや東京03の過去を知る
こんにちは、すいっちです。
今回は、放送作家であるオークラさんが書いた、初のお笑い自伝「自意識とコメディの日々」のレビュー・感想を書いていきたいと思います。
このnoteを読んでわかることをまとめると…
極力ネタバレにならないよう注意して書いていきますが、説明に必要な部分は最低限触れますのでご了承ください。
それでは、オークラさんとはいったい誰なのか?ということから紹介していきたいと思います。
■オークラさんとは誰か?
元々は芸人で、後に放送作家に転身。
バナナマンや東京03などの単独公演に関わり続けている。また、「ゴッドタン」や「バナナマンのバナナムーンGOLD」などお笑いのテレビ番組やラジオ番組も担当。
最近では、「ドラゴン桜2」のドラマ脚本を担当するなど、仕事が多岐にわたる。
■本書の基本的な情報
ジャンル:自伝的エッセイ
内容:「カルチャーとコントの融合」の実現を目指すオークラさん自身のエピソードや感じたことを書き綴っている。
それに加えて、オークラさんから見た周囲の天才たち(芸人や放送作家など)のエピソードや魅力を知ることができる。
また、オークラさんに影響を与えた1990年代~2000年代のお笑いやサブカルなどの時代背景が細かく描写されている。
■本書のおすすめポイント
・当時のお笑いの空気感がリアルに伝わってくる
ダウンタウンに影響された自意識の高い芸人たちに囲まれ、その一員として渦中にいたオークラさんから語られる当時の雰囲気は説得力がある。
その雰囲気を変えていったおぎやはぎのスゴさも現場で体感していたからこそ、リアリティをもって書けるのだろう。
芸人として活動していたオークラさんだからこそ書ける、この空気感を実際に読んで確かめてほしい。
・現在活躍している芸人の若手時代を知れる
バナナマン、おぎやはぎ、バカリズム、東京03など今や大活躍の芸人たちの売れてなかった若手時代のエピソードを知ることができる。これも芸人時代から共に歩んできたオークラさんだからこそ書ける文章。
さまざまなタイプの「天才」を目の当たりにしてきたオークラさんが感じた「天才」たちの魅力、その才能に対するオークラさんの挫折や葛藤が描かれていた。
天才は最初から天才だったんだなと思う一方で、共に成長してきた東京03のエピソードはグッときた。出会った当初は嫌いだったという飯塚さんがどう変わっていったのか、実際に本書を読んで知ってほしい。
・お笑いを構造的に言語化してくれる
オークラさんが関わってきた芸人の面白いポイントと「なぜそのポイントが面白いのか?」を分解して、言葉で説明してくれている。僕みたいなお笑いの素人でも分かるように説明されているあたり、さすが放送作家だなと思った。思わず「なるほど!」と納得してしまう。
また、今年(2021年)オリンピックで話題になった、二十数年前のラーメンズのコントについても言及されていた。そこからは、オークラさんの立場からできうる最大限のカバーを感じることができた。そのコントが作られた当時から、ラーメンズの小林賢太郎さんを見てきたからこそ感じる思いを知れて良かった。
・お笑いやサブカルチャーの時代背景を細かく知れる
オークラさんが影響を受けた出来事の年号や、お笑いだけでなく音楽や映画などの様々なサブカルチャーの知識などが細やかに記されている。こういったところに、「本当にお笑いやサブカルが好きなんだろうなあ」という(良い意味での)オタク気質が感じられる。
固有名詞が多く、読むのに疲れてしまう人もいるかもしれないが、わざわざこうして僕のレビューを読みに来てくれている人は相当のお笑いオタクなのでたぶん大丈夫だと思う。
■まとめ
✅このnoteで書いてきたこと
「さまざまなカルチャーが融合するコントライブ」
オークラさんがやりたかったものとして、本書の文中に何度も出てくる表現だ。実際にオークラさんはその夢を叶え続けている。
僕は、この本を読んで目標がある人は強いなと思った。人生の選択に迷ったときに大きな指針になる。複数の仕事を掛け持ちして忙しい時でも、オークラさんはドラマという異業種の仕事を引き受け、幅を広げてきた。
それは、「カルチャーとコントの融合」をさまざまな場で実現させようという軸があるからできる決断だと思う。
そんなオークラさんの周りには、バカリズムさん、佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)、星野源さんなど「さまざまなカルチャーの融合」を体現するような人がたくさんいる。
天才に囲まれて生きてきたオークラさんもまた、天才のひとりなのだ。
オークラさんが書いた自伝「自意識とコメディの日々」のKindle版はこちら
現在(2021/12/3)、紙の書籍はAmazonなどで品薄状態みたいですが、Kindle版ならすぐ手に入れることができるのでぜひ!
今回のnoteが、本書を買うかどうか迷っている方の参考になったのなら嬉しいです。良かったと感じるかたはぜひ「スキ」ボタンを押してください。note執筆の励みになります!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
[追記]
ちなみに、僕がこの本を知ったきっかけは、「ゴッドタン」のプロデューサーである佐久間宣行さんのラジオである。佐久間さんのラジオに、オークラさんがゲストとして来た回で、この本の存在を知った。
この放送では、本の告知で来たにもかかわらず、オークラさんが本を書き終えることが出来ていなかった。なので、ただゲストとして来た回だったのだが、ここでちょい出しされた本の内容がべらぼうに面白かった。
その放送が去年(2020年)の11月。
1年待った。でも、1年待った甲斐があったなと感じた。
オークラさん書ききってくれてありがとうございます!
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