雨の日も大切な１ページ

今日も朝から冷たい雨。もう何日こうして降っているのだろう。雨粒がリズミカルに傘を叩く中、カメは傘の下で首をすくめていた。「ずっと降っているのかな、この雨…」と、彼はそっと呟いた。その湿った空気と灰色の空は、彼の心を家の温もりへと誘っていた。

その時、ピンクのレインコートを着た影が風に乗って駆け抜けた。風が音を立て、その影は一瞬で遠くへ消えていった。振り返りながら大きく手を振って再び走り出すその姿は、まるで雨を楽しんでいるかのようだった。

雨粒のついた傘を畳んだカメは、静かに図書館に足を踏み入れた。彼の視線は涼やかな表情で読書にふけるウサギにとまった。隣の席には畳んだピンクのレインコート。彼女はカメのために席を確保していた。

「ウサギさんは雨の日も元気だね」とカメが声をかけた。「晴れもあれば雨もある。雨の日を楽しまないなんてもったいないわ。それに雨の日だって、人生の大切な１ページなんだから」と、ウサギはすました表情を作ってカメを見上げた。

「そうかもしれないね」とカメが思わず笑みを浮かべると、「どんな天気も大切にしなくちゃ。雨の日には雨の日の良さがあるのよ」と彼女は微笑んだ。ウサギには何事も自然体で受け入れる力がある。どんな時でも前を向く彼女の強さが、彼女の言葉に込められていた。