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サンタからの挑戦状
風が少し冷たく感じられるその日、ウサギは人波の中を歩きながら、ふと独りになったような気がして足を止めた。
「どうしたの?」ウサギが振り返ると、カメが情報ラックの前で立ち止まり、ひとつの冊子に目を奪われていた。
「東京駅って今年で110年なのね。それで、記念にプレゼントがもらえるのね!」
「でも、その前に…サンタが残したこの謎を解かなくちゃね」 カメは冊子をぎゅっと握りしめながら、どこか遠い瞳でつぶやいた。
「これが最初の謎なの?」 ウサギは目の前に現れた大きなパネルを見上げた。
「まるで東京駅そのものが、私たちの挑戦に立ちはだかっているみたいね…」
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「風船が3つで『進路』なら、風船が2つだと…っていう問いだね」 じっとパネルを見つめていたカメは、LINEに解答を送った。
「正解です。次のミッションは…」
カメのスマホをのぞき込んだウサギの瞳が、キラリと光った。
「すごいわ!プレゼントに前進ね!」
「ここはラーメン横丁ね。食べて行かない?って誘いたくなるところだけど…ここが2つ目の謎解きの舞台なのね?」
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鮮やかに2問目をクリアしたカメは、ウサギとともに次の謎へと進んでいった。
ある時は、ヨーロッパの雄大な山々が立ちはだかった。
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そしてまたある時は、魔法のように現れた太い柱が、奇妙な謎を投げかけてきた。
「でも、きっと解けるわ、あなたなら。プレゼントなんて、もう手に入れたも同然よ!」
懸命に考え込むカメの隣で、ウサギはどこか得意げに、不敵な笑みを浮かべていた。
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そして…。
ウサギは紅茶専門店で、アールグレイを幸せそうに味わっていた。 目の前では、カメが考え込んだ様子で、器用に冊子を折りたたんでいる。
しばらくして、カメの手が止まった。
「それで…?」ウサギに問いかけられ、カメの顔に笑みが浮かんだ。二人はしばらく見つめ合い、ティーカップを軽く合わせた。
「これで『スノーリース』のハンカチタオルは私のものね!」
「いや、抽選なんだけど...」
二人の小さな笑い声が、穏やかな空気に包まれながら、紅茶の優しい香りの中へと静かに溶け込んでいった。