チルではない、前向きなシーシャラウンジを|SWAY代表インタビュー(前編)
あいまいを味わえるメディア『SWAY Magazine』は、様々なゲストライターの方とのコラボレーションにより運営しています。今回のライターは、フォトグラファーのノブさんです。
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はじめまして、フリーフォトグラファーのノブです。フォトグラファーとしてあらゆるジャンルの撮影をしながら、東京浅草で人力俥夫としても活動しています。
さてさて。皆さんは「シーシャ」に対してどんな印象を抱いていますか?
「リラックス」や「嗜好品」というイメージを持つ人もいれば、「非現実的」「ちょっと近寄りがたい」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
実際、私もなかなかシーシャに親しむ機会がなく、人生でシーシャを体験したのはたった2回で、その2つともディープな内装の個性的なお店だったのをよく覚えています。
しかし、今回私が訪れた「SWAY」は開放的な雰囲気で、これまでのシーシャバーとは異なるメッセージ性を確かに感じました。
流行や文化の中心地である東京渋谷・松濤で、新たなシーシャシーンを牽引するSWAY代表の藤巻さんに、SWAYに込められた思いやシーシャの魅力について、お話を伺ってきました。
藤巻滉平 / 株式会社SWAY 代表
大学在学中に起業、家庭教師マッチングサービスを行う。その後事業売却。2017年に開発/投資を行う企業へ入社。受託開発とベンチャー投資事業をメインに、投資先、ベンチャーから大手企業まで様々な新規事業開発に従事。要件定義、UIUX設計、Web/アプリ開発、PM業務まで一貫して担当。2020年に受託開発やインターネットサービスを提供する会社を起業。2021年に株式会社SWAYを設立し代表取締役に就任。
ノブ / フォトグラファー
東京下町生まれ。大学生の頃から独学で写真を学び29歳の時にフォトグラファーとしての活動を開始。人物、プロダクト、フェスなど様々なジャンルの撮影をしつつ、ライフワークとして『日々の朝ごはん』の写真をSNSにて発信。雑誌や新聞などの取材を受ける。写真業以外ではコラムの執筆活動や企業SNSの運用などもしている。浅草では現役の人力俥夫としても活動を続けている。
Twitter:https://twitter.com/shimizu_nobu_
Instagram:https://instagram.com/shimizu_nobu_
接点が作れる場を。SWAYを始めた理由
-- 早速ですが、SWAYを立ち上げたきっかけを教えて頂けますか?
藤巻:大学時代に起業して、ずっとIT業界でWebサービスやアプリなどを作ってきました。インターネットサービスだと、ユーザーの反応をあくまで画面越しでしか知ることができなくて。エンドユーザーのお客さんと会うことはほとんどないのです。
僕は人と話す事も好きだし、人自体も好きだし、人が集まる場所も好きだったので、実際にお客さんとの接点が作れる場を持ちたいなと思ったのが最初のきっかけです。
-- 人とのコミュニケーションがお好きなんですね。でも様々な業態がある中で、どうしてシーシャ店を選んだのですか?
藤巻:元々僕がシーシャ好きで、とあるシーシャ屋さんに友達とよく行っていたんですが、ある時そのお店の店長さんが辞める事になってしまって。
そうなるとみんなと集まる場所がなくなるじゃないですか。だから「またみんなで集まれる場所があれば良いな」と思って。それならシーシャのお店を自分がやればいいじゃんと思ったのが理由ですね。
-- 無くなるなら作ればいいという発想だったんですね。では実際お店を構えるにあって、どうして渋谷の松濤エリアを選んだのですか?
藤巻:シーシャを文化として根付かせるために、最初のエリアは渋谷がいいと思っていました。
シーシャは、リラックスできたり、誰かと会話したり、時間を大切にできるモノだと思っているので、渋谷の中でも落ち着いていて、落ち着いた人が集まるところを探していたんです。そんな時に松濤で丁度良い今の物件に出会うことができました。
シーシャを介したコミュニケーションが好き
-- そもそもなんですが、藤巻さんがシーシャを好きになったのはいつ頃なんでしょう?
藤巻:大学生の時に友達に誘われて吸ったのが初めてですね。味も美味しいですし、やっぱり煙が出て昇っていく感じってかっこいいじゃないですか。
それでいて深呼吸をして自然とリラックスもするので、1人でリラックスする時や、友達とゆったりと会話をする際にもシーシャは適してるなと感じていました。
-- シーシャを通じてのコミュニケーションと、通常の会話のみのコミュニケーションとでは何かが違ったりします?
藤巻:シーシャは、ひとつの台を複数人でシェアしますよね。モノ・空間・場所を共有することで、親密になりやすいと思います。そういった機能的価値をシーシャは持っていると思いますね。
人生にとってプラスになる事を作り続けたい
-- 藤巻さんが仕事をする上で大切にしてることとはなんでしょう?
藤巻:僕は教育が好きで、50代くらいから残りの半生は学校やそういった場での教育事業をずっとやっていきたいと思っているんです。
元々塾講師を経験していたり、人に何かを教えるのが好きなんですけど。教育を通じてその人が変わる瞬間が楽しいんですよね。
人の可能性ってすごく大きいじゃないですか。だからその人の可能性を後押しするような、モノだったり、空間だったり、誰かの人生にとってプラスになる事を作り続けたいと思っています。
-- 人の可能性を後押しするという観点から、SWAY全体で大切にしていることはありますか?
藤巻:会社の理念としては『人を醒ます』というキーワードを大切にしています。この理念は、実は今のシーシャ業界へのアンチテーゼでもあるんです。
よく“チル(chill)”って言葉があるじゃないですか。チルって言葉は良い言葉でもあるんですけど、捉え方次第では現状の停滞になってしまうと思っていまして。
「この瞬間はリラックスして全てを忘れてしまおうぜ。」というニュアンスで使われることが多いんですけど、それって前に進まないまま結局停滞してしまうんです。
時には必要なことだとは思っていますが、僕らはチルという言葉は一切使っていません。
なぜかというと「人を醒ます」という言葉通り、人がより豊かになって前進していき、その人の人生や感性をプラスの価値に転じるような場所にしたいという思いがあるからなんです。
曖昧でいる自分を許容できるような場所
-- 先程の人が前進する場を提供したいとおっしゃっていましたが、SWAYのコンセプトやこだわりなどお聞きしたいです
藤巻:SWAYのコンセプトの一つに「曖昧」というワードを出していて。日本ではあまりいい意味で使われる事がないんですけど、英語では「アンビギュアス(ambiguous)」といって、“両方の意味がある”って言葉なんですね。
正解を求められることが多い世の中じゃないですか。でも、何が正解なのかってわからないし、たいてい“正解”なんて存在しないと思っています。
とはいえ、意思決定をしなきゃいけない瞬間がたくさんあって、常に選択を迫られるわけです。
その中で、曖昧な自分でいられる瞬間ってとても重要だと思っているんです。SWAYにいる時は曖昧でいられるし、曖昧で居続けられる。そしてそんな状態は自然で、許容していいものなんだ、という想いを込めています。
その結果お客さんも最近その意味を感じ始めてきている気がしていますね。
-- お客様に解釈を委ねるという発想は斬新でした。お客様にリラックスして頂くためのこだわりなどもあるんですか?
藤巻:お店全体がミニマルであまり色を出さないようにして癖のない店作りを目指しました。
SWAYは「シーシャバー」ではなくて「シーシャラウンジ」と表現しているんですけど、ラウンジって人によって用途が多目的じゃないですか。
例えばホテルのラウンジなんかだと打ち合わせする人、読書をする人、お酒を飲む人なんかもいて。
ラウンジには、多用的な場というニュアンスが込められているので、僕らのSWAYもそういう場所にしたいと思っています。いろんな人にいろんな使い方をして欲しいですね。
今回の取材を通じて今まで持っていたシーシャへの価値観が大きく変わりました。
嗜好品や娯楽としてのシーシャという面だけではなく、コミュニケーションツールとしての側面を知ることができました。
シーシャを介して自分の内面と向き合う事とその機会を作り上げている藤巻さん達の試みの面白さも感じました。
SWAYが掲げるコンセプトには多くの方が興味を持つモノだと私は思いました。次の後編では、SWAYの今後の展開やお店で働くスタッフ達への思いなどを掘り下げていきます。
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