「接客では五感をフル活用する」日本一のシーシャ屋を目指すSWAYとBRO SHISHA STUDIOの接客とは
こんにちは、ライターの伊藤美咲です。
SWAYと高円寺にあるシーシャ専門店「BRO SHISHA STUDIO」とのコラボ企画も最終回。引き続き「SWAY 渋谷松濤」店長・井戸悠登と「BRO SHISHA STUDIO」店長・前田大吾さんの対談をお届けします。
今回は、それぞれのお店の接客でこだわっている部分や、シーシャプレイヤーに必要な要素について伺いました。
お客様に「また来たい」と思ってもらうために、どんな工夫や意識をしているのでしょうか。
五感をフル活用し、ホスピタリティのある接客を
前田:僕らは、「BRO SHISHA STUDIO」に来たお客さまに何かしらの感情の動きがあって、帰る頃には前向きになってもらえたらいいなと思っています。
そのためには空間満足度とコンテンツ(シーシャ)のクオリティ、接客の3つの期待値を超えて感動を生み出すことが大切です。それを実現するために、日本一おいしいシーシャと日本一誠実な接客を目指しています。
井戸:SWAYも開店当初から日本一のシーシャを目指しているので、ライバルですね(笑)。接客面だと具体的にどんなことを心がけていますか?
前田:ホテルマンのような丁寧な接客と、人と人との繋がりを生み出すことを心がけています。「BRO SHISHA STUDIO」で繋がった人同士は、その後も交流があるたびにお店のことを思い出してくれると思うので。SWAYさんが接客で心がけていることは何ですか?
井戸:ホスピタリティですね。些細な足音やお客様との話し方まで、徹底的に気を配りますね。他にもマウスピースが落ちてしまった音を聞き逃さないようにしたり、誰かがシーシャにぶつかってしまったときのケア方法も決めていたりします。
お客様の中には積極的に話しかけたほうがいい人もいれば、話しかけずに適度な距離感を保ったほうが居心地が良いと思う人もいますよね。アプローチするだけが接客ではないと思っているので、お客様に合わせた違和感のない接客を意識しています。
前田:すごいですね、勉強になります。それで言うと、僕らはお客様へアプローチをしていく加点方式で考えていました。
お客様のグラスを見て、呼ばれる前にドリンクオーダーを伺うとか。そのときも「飲み物おかわりいりますか!?」と聞くとストレスに感じてしまう方もいると思うので、グラスの音が鳴ったタイミングで聞くようにするなどの工夫はしますね。
あと、お客様には最後の最後まで楽しんでもらいたいという気持ちがあります。僕らのお店は建物の5階にあるので、お客様が出る前にエレベーターを呼んで、しっかりお辞儀をしてお見送りすることも心がけています。
井戸:素敵です。僕らもSWAYで過ごす2時間を豊かにしてもらうことを心がけているので、最初のシーシャ提供から最後のお見送りまで担当者を変えないようにしています。そういうマインドは似てますね。
前田:接客では五感を研ぎ澄ますことが大事だなと思います。
井戸:そうですね。目や耳をフル活用して、ドアが開いた音や飲み物の減り具合などの変化を常に逃さないようにしています。
前田:ちなみに、ドリンクのおかわりを伺ったときに「大丈夫です」と言われたときってどうしてますか?
井戸:お水を出したり、時間が経ってからまた聞いたりしていますね。何度も聞くのも失礼になってしまう場合があるので、お客様の様子を見ながらタイミングを伺ったり違うスタッフから声をかけたりしています。
前田:なるほど。知り合いの飲食店の方から聞いた手法を採用しているんですけど、僕らはスタッフにお客様に還元できる予算を渡して、その分サービスできるようにしています。コストはかかりますが、その分お客様に感動を与えられて、また訪れていただける可能性が高まると考えています。
井戸:予期しないサービスは、サプライズもありますし、その気持ちが嬉しいですよね。
前田:ただ多くの場合は、誰かにサービスしたら他の人にも同様にしなきゃいけない慣習があると思うので、難しいですよね。
井戸:そうですね、SWAYでは常連さんや特定のお客様を特別扱いしすぎることはしないようにしています。
お客様とのコミュニケーションは大事ですが、盛り上がりすぎると新規のお客様が入りづらくなってしまうので、身内感は出し過ぎないように心がけていますね。
店長が思う、シーシャプレイヤーに必要なもの
井戸:前田さんは、シーシャプレイヤーに必要なものは何だと思いますか?
前田:シーシャに対する熱中度と好奇心ですね。シーシャはフレーバーの温帯によって味が変わるので、そこの面白さを理解しないと探究心が生まれないのかなと。
セッティングもひとつを固定するのではなく、「このセッティングだとどういう味になるんだろう」というワクワク感を持たないと、良いシーシャが作れるようにならないかなと思います。
井戸:そうですね。
前田:あと、僕らがお店を続けて生きていられるのはお客様がいるからなんですよね。お客様からお金をいただいている以上、対価としてそれ以上のものを提供することと、感謝の気持ちを忘れないことはすごく大切だと思います。井戸さんはどうですか?
井戸:僕は、あらゆる面で継続力が必要だと思います。技術面でも接客面でも、トライアンドエラーを繰り返して続けていく姿勢が大事です。
シーシャは慣れていても吸いすぎると体調が悪くなるし、プレイヤーは体力も必要なので、自分をケアし続けることも必要。まさに「継続は力なり」を体現するのが、シーシャプレイヤーだと思います。
シーシャは初対面の人ともコミュニケーションが取りやすい
前田:今シーシャが流行っていると言われていますが、その理由は何だと考えていますか?
井戸:「チル」という言葉が出てきたことに付随して、シーシャも広まった気がします。あとは、Instagramが普及して動画や写真の投稿が増えたこと。煙を吐く姿を見て「何これ!?」とシーシャに興味を持つ人が増えたんじゃないかなと思います。
前田:僕は、シーシャはカフェよりも話しやすいのが魅力のひとつだと思っています。
特に初対面の人と話すときは間を埋めなきゃと思いがちですが、飲み物だけだとすぐ飲み終わってしまうし、なかなか難しいですよね。シーシャは時間をかけて吸うものだし、シーシャを吸っていたら間も埋まります。
それに、シーシャは煙を吸って吐くことで何も考えない時間を創出してくれると思っています。サウナもデトックス効果がありますが、近いものがあると感じますね。
井戸:「チル」と「整う」という言葉が紐づいている気がしますね。
前田:最近はシーシャを吸いながら作業する人も増えましたが、当初は何も考えない時間を楽しめることがフォーカスされて広まったんじゃないかなと思います。
井戸:シーシャはひとつのツールに過ぎないですが、豊かな時間にするために、より良いものを作り出すことが大事だなと思いますね。
井戸:今後、シーシャ業界でやりたいことはありますか?
前田:業界全体で言うと、シーシャの曖昧な部分を具体化していきたいですね。僕は理系出身ということもあって、構造や仕組みがすごく気になる性格なんです。
シーシャの材料や歴史も深いところまで研究して、みんなに知ってもらいたいですし、プレイヤーによって味が変わるからこそ、プレイヤーに特化した何かをやりたいというのが今後の展望です。
井戸:シーシャは歴史なども曖昧な部分が多いですもんね。会社の事業としての展望はありますか?
前田:「BRO SHISHA STUDIO」は株式会社TOM STYLEという会社の事業として運営しているのですが、会社のミッションを「美味しい・楽しい・気持ちいいを最大化する」としています。シーシャはそのうちのひとつに過ぎないので、ゆくゆくは他の事業も展開していきたいと考えています。
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「SWAY 渋谷松濤」店長・井戸悠登と「BRO SHISHA STUDIO」店長・前田大吾さんの対談企画最終回では、接客面でのこだわりやシーシャプレイヤーに必要なマインドなどを語ってもらいました。
何気なく過ごしているシーシャ屋での時間は、シーシャプレイヤーの気配りや繊細な意識があるからこそ。技術面でも接客面でも常に最高を目指すマインドが、シーシャプレイヤーには大切なのだと改めて実感しました。
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執筆:伊藤美咲 / 撮影:琴
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