鉄 と 花の対比 THE NOVEMBERS『zeitguist』
1曲目からしばらく、7曲目くらいまで砂鉄の海に浸かっているかのような鉄臭さ、息苦しさを感じる。感じるのだが、ループ調の曲調とボーカル小林氏の妖艶だがどこか幼い声が心地良く、どっぷりとその世界に入っていってしまう。鉄臭いという感覚は、M6のタイトルが鉄の夢 なのでそれに引っ張られているかもしれない。
M9 ceremony で急に この子の今を守りたい この子の笑顔を守りたい と、率直な歌詞になる。薄紫の花を飾って という歌詞も、このアルバムの大部分を占めている息苦しさと対になっていると感じる。M10 の曲名は、Flower of lifeである。
コンセプト・アルバムというよりは、その時期の自身の感覚を相反する感情まで全てパッケージングした作品であると感じる。THE NOVEMBERSのアルバムの中で、私はこの作品が一番好きである。