指す将順位戦6th 自戦記 A級2組11回戦

事前準備

11回戦のお相手はずーさん。
将棋俱楽部24のハンドルネームを見ると、Ibisya-Minirai:居飛車見習い。要するに、両方指せるということである。
私は先手番ならば早石田を投入しようと予定していた。しかし、直前の10回戦の▲miya-△ずー戦において、早石田に対し相三間飛車でうまく対応しているのを見てしまい、相三間飛車が得意でない私は悩むこととなった。
後手番ならば、出だしを見ながら何らかの振り飛車にしようと考えていた。
練習面では将棋クエストの詰めチャレに取り組んでおり、レート2050くらいの壁にぶち当たっている。持ち駒が余ってもいいというのが新しく面白い。

秘策発動せず

先手番となり、対局開始。最初の6手を示す。
▲7六歩 △3四歩 ▲9六歩 △8四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲9六歩は様子見。受けてくれて居飛車になれば税金の支払いとみなし、心置きなく振り飛車にできる。相振りでも端攻めのきっかけになるので損はない。実は早石田以外にもう一つやってみたい戦法があったが、その条件は狭く4手目の△8四歩で儚く消えた。後手で居飛車を指すならば2手目に△8四歩の人が多いが、本局はそうではなかった。気を取り直して中飛車に組んでみた。

局面1

大味な角銀

玉側の端歩の付き合いはあるが、後手は穴熊を目指してきた。もしかしたら▲9六歩が無駄手と見られたかもしれない。私としては後手番になっただけと思い、気にすることはやめた。迎えた下図、自分でもあまり見たことがないが玉の囲いもそこそこに銀をグイっと出てみた。▲5四歩と▲7四銀の両狙いで後手からすると意外と嫌かもしれない。以下、△7二飛▲5四歩△3二金▲9五角と進む。

局面2

放っておけば角を切って▲5三歩成がある。△4二銀には▲7四銀で、△同飛には▲6二角成と銀を取り返して好調。どうされるのかと思っていたが、△5四歩▲同銀△4二金引。

局面3

金は引く手に好手あり

普通、攻めの銀は5段目に出られれば成功と言われているが、4段目まで到達できた。しかし、この金のスウェーが玉の堅さを維持しつつ争点をずらす手で、▲5三歩を打ってもあまりぱっとせず、攻めるには角を切るしかない状況になった。角はいつでも切れそうなので▲6七金と割り打ちをあらかじめ防いだが、△1一玉との交換は明らかに損。

局面4

角切りを決行

下図の▲7七桂で角の退路を消し、追われれば角を切るという宣言。以下実際に△9四歩からそう進んだが、自玉も薄く相手の攻めの銀との交換でいまいち成算が持てなかった。ここでは▲5三歩と中央の勢力を確保し、▲6八角~▲4六角の転換でじっくり指す方が良かったかもしれない。とはいえ実戦的には中央からの食いつきは後手にとっても怖いだろうとは思った。

局面5

下図、後手が飛車の横利きを止めたので、やや有利になったと感じた。▲4二銀成から穴熊戦らしい金銀の打ち合いが展開された。すでに持ち時間は使い切り、1手に55秒ほど使いながら進めていくが……

局面6

好機を逃す

下図、▲6二金として▲5二歩成から駒得を目指した。確実な攻めではあるが、本丸までは4路と遠く、▲金金△角の二枚替えでも6二の金が残るため効率は悪い。ここでは5四の銀が4三に侵入する展開を目指し、▲4一金△同銀▲4三金と張り付き続け、▲5二歩成と▲3三金の両狙いを見せる方が良かった。このあと、後手が8筋からひたひたと迫ってきて、徐々に自信を失っていく。

局面7

6三にと金を増産するが、下図の△6六歩が入る。▲同金と取るしかないが5七・6八の地点が薄くなり角のラインにも入る。数手進んで△8八飛成とされ、ついに龍で玉を射程に捕えられた。

局面8

苦心の早逃げ

下図、後手の攻めを遅らせる良い手がないか探していたが、自力では見つからなかったため▲2八玉と早逃げしつつ飛車の逃げる空間を作った。しかし、良い手ではない可能性が高い。

局面9

ソフトを参考に振り返ってみると、▲6九歩△7七龍▲6七金打△8七龍▲8八歩と、歩を駆使して壁を築く手順が示された。初手の▲6九歩は高級な手筋としてギリギリ見えそうだが、金を投入してがっちり受けて良しとは全く思えないし、そのあとどのように攻めをつなげるかも難しく長い戦いになりそう。結局、先の局面で▲6二金と退却したのが最も惜しまれる一手になった。

参考図

最後の敗着

玉が深くなったが、依然として金取りが残っている。▲4二ととしたが、△4九龍で金とぼろっと取らせるのはなかった。後手玉にどう詰めろをかければよいか分からないし、▲4八金と我慢してチャンスを待つべきだった。△5九とから削りにくるのは一手余計にかかるのでそこで攻め合う。本譜は△3八龍▲同玉と引っ張り出されてしまったため、早逃げの意味がなくなった。龍を4九に来させてはいけなかった。

局面10

全局終了

以下、銀は4三に侵入できたが時すでに遅し。後手玉に詰めろをかけようと粘ったが、正確に受けられて及ばなかった。

局面11

最後に

対抗型の横からの攻め合いで、互いの玉が2路違うため、距離感を図るのが難しい一局だった。
どの対局も厳しかったが、6勝5敗と勝ち越しでリーグ戦を終えられた。全体を通した振り返りも書こうと思う。
対局相手のずーさん、ありがとうございました。
※棋譜は将棋倶楽部24から

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