指す将順位戦6th 自戦記 A級2組9回戦
事前準備
9回戦のお相手はメルモンさん。
今期の棋譜を見ると、対抗型の居飛車側の棋譜が多く好成績を残されている。また、相居飛車では角換わり早繰り銀を得意にされているようで、後手番を引いたときにこちらは何を採用しようか大変迷った。
角換わり拒否・右玉は攻め合いにできるか自信がなく、腰掛け銀も広い玉でバランスを取るのが難しく、知らないなりに相早繰り銀で攻め合いを目指すということに決めた。
やはり
これまでの対局では、先後どちらでも大差なしと構えていたが、この対局に関しては早繰り銀の脅威がちらつくため、先手が欲しいなあと願っていた。自力ではどうにもならない余計なことを考えているときは、えてして望まないことが起こる、気がする。
その通り後手番となり、対局開始。最初の6手を示す。
▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲2五歩 △3二金
予想通り角換わり早繰り銀となった。こちらも小刻みに時間を使いつつ、予想通りではあるが意を決して早繰り銀を採用した。
明らかな経験の差
▲6八玉・△9四歩は、飛車先を交換できた場合の▲9五(△1五)角を未然に防ぐ一手。その後すぐの▲3五歩ももちろん考えられるが、2秒で下図の▲7九玉を指された。8九の桂に紐をつけ、後手の8筋の継ぎ歩攻めを牽制しながら相対的に玉を堅くする意味合いもある。既にマークしていない展開となり、「そうか」と思わず呟いてしまった気がする。
経験が少ないなりに、必死に方針を考えた。
先手の玉が6八から7九に移動したため、先手後手の守備銀(7七・3三)への効きは互いに2枚。銀交換できた場合、先手だけ7筋の玉がいるため玉への響きは先手の方が大きそう。ただし、すぐに△7五歩▲同歩△同銀は▲2四歩の継ぎ歩が気になる。以上の考えより、相手の▲3五歩を待ち、かつ何かのときの△5四角を見せつつ△4四歩と突いた。先手としても有効手が少ないか。▲3五歩と仕掛けてきた。下図の△8六歩は、▲同銀は斜めのラインが空くので▲同歩に限定だろうという見込みで早めに突いた。
▲8六同歩に対して△3五歩と手を戻し、▲同銀で先手の銀が5段目に進出。こちらも△7五歩から▲同歩△同銀で同様に5段目に進出。この形になってみると、▲7六歩△8六銀に対し、▲8三歩と叩いて▲6五角を狙われることに局後検討で気付いた。△4四歩がお手伝いになっている。これ以前のどこかでもう少しよい指し方があったようだ。
当初の方針は?
先手は▲3四歩と押さえてきた。ここは銀交換のチャンスだった。負けじと△7六歩と打ち返す手がそれで、▲3三歩成△7七歩成は玉の位置関係もありまあまあやれそう。感想戦ではメルモンさんは▲6六銀と逃げるつもりだったと聞き、それならば△同銀から銀交換となる。実戦では強気すぎるかと思い、考えた末に△4二銀と引いた。
当初の方針は?2
先手が2筋を突き捨て、▲5五角△6四角▲同角となった局面。理由がいまいち思い出せないのだが、角のラインを怖がったか。△同銀と退却してしまった。ここは△同歩で銀を前線に残しておくべきで、△7六歩と押さえる手が消え、当初の目的である攻め合い、その第一歩となる銀交換の狙いは失敗に終わってしまった。逆に先手は▲2四銀と調子よく進出し、3四の歩も合わせて重圧が厳しい。
弱気の虫
△2五歩と空中に打ち、▲同飛なら△3六角から馬作りを狙うが、なんとも嘘っぽい。さすがに▲5八金が指されるか、と思いながら相手の考慮を4分待ったが、その通り▲5八金。4~6筋の歩に紐をつけて厚くしながら上記の狙いを防ぐ落ち着いた好手で、途方に暮れた。
おなじみの角
下図の△7六歩から8六の歩を回収したが、結局歩で追い返されるので意味がない。さきの△2五歩でははまだしも△5四角で、敵陣だけでなく、自陣の3二金~2一桂、さらには6三歩に紐が付いているのも地味ながら大きい。せっかく△4四歩と突いたのにもったいない。実戦はこの手を指さず、あとで結局△4三角と打たされ、その角を狙われた。
相居飛車は難しい
以下、2・3筋からガリガリ攻められ、手数は続くが私の力では綾をつけることができず完敗となった。
最後に
終盤勝負に持ち込めなかったのは悔いが残る。後手番で相手についていくための実力が足りないことをここ数局で痛感した。
相手のメルモンさん、ありがとうございました。
※棋譜は将棋倶楽部24から
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