かつて、()だった頃の事
白ごはんにお刺身のっけて食べた
かつて猫だった時の気持ちで/川瀬 凪
生まれてこのかたずっと人間なんですけど
時々かつて猫だった時の気持ちや星だった時の気持ちを思い出すような、出さないようなふわふわした大人です。
猫と云えば今年の3月に老いた愛猫を亡くしました。白くて目の青い静かな猫でした。
半年程の介護を経てある日思い立ったように天国へいきました。
思えばこれまでの人生で一番長く側にいてくれたのは彼女です。
一人暮らしを始めてすぐ飼い始めたので実質2匹暮らしでした。私も彼女といる時は猫だったので。
生き物の死に向き合ったのは初めてで、
かなしみよりも先にとまどいが来ました。
今も多分、かなしみはやってきていなくて
ゆっくりのんびり道草しているのが分かります。
なのであんまり泣いていない。
泣いていなけど、前はあんなに白い猫のモチーフを見つける度に嬉々として集めていたのに
それをしなくなりました。
きっと彼女が私のそういう部分を全部、
持って行ったんだと思います天国に。
私を独り占めする為に。
4月のカレンダーのイラストが、
海を散歩してる猫の絵でした。
そこでちょっと救われたような気持ちになりました。痩せて病の棲家になってしまった体を抜けて自由に海でも見に行ってるなら嬉しい。
彼女は猫でしたがいまは
かつて猫だった星になってしまったので。
私も今はなんとなくかつて星だったような気がするようなしないような、そんな日々です。
優しくてさみしい。
読んでくれてありがとう。
川瀬 凪