見出し画像

SW/AC通信vol.21 「朝の談話室 ことば で 調える」お散歩 at 鴨川レポート

福祉、地域、教育などのさまざまな分野とアートをつなぐ相談事業、Social Work / Art Conference(SW/AC)がニュース形式で情報をお伝えするSW/AC通信です。毎月第3土曜日開催の朝の談話室、今回はお散歩のレポートです。

相談の手前で、ことばを交わす「朝の談話室」

SW/ACではアートと共生に関わる相談を日頃から受け付けています。福祉に関わるリサーチをしたいけど施設を訪ねやすい時期って?コミュニティづくりの一環で表現活動ってどんなことができる?こういう活動のニュースを見たけど、自分の現場でもできるかな?などなど・・アート、福祉、教育、地域などご専門とされている現場だけではわからないことをお伺いして、一緒に考える相談の場をSW/ACではつくってきました。

ただ相談に至る前に日々の仕事に忙殺されたり、現場でのことばのやりとりで逆に疲弊してしまうということも。SW/ACの「朝の談話室 ことば で 調える」では、日常のことばのやりとりから少し距離を取ってことばを振り返り、対話に入るためのモードを調整する、そんなことを目指して毎月第3土曜AMに開催しています。

今回の朝の談話室は、「お散歩 at 鴨川」と題して、東九条から鴨川へしゃべらずにみんなで散歩をすることから始めました。

しゃべらず歩く

この日は雨模様。参加者の皆さんにはこれから移動して歩くときはしゃべらないこと、帰ってきたらそれぞれが見たことを話すことを共有しました。
歩くときの参考に、といくつかの詩を用意して、はじめに朗読しました。

「石」
石は
終りのものである
だから人は 終りになると 石のように黙りこむ
石のように孤独になり
石のように 閉じる

けれども
ぼくが石になったときは
石はむしろ 暖かいいのちであった
石ほど暖かいものはなかった
あまり暖かいので
そのままいつまでも 石でありつづけたいほどであった
事実ぼくは 一週間ほどは石であった

石は
終りのものではない
石は はじまりのものである
石から始まると
世界はもう崩れることがない

山尾三省『火を焚きなさい』より
エレナ・トゥタッチコワ『聴こえる、と風は言う』より

詩を声にしてから、みんなで傘をさしてHAPS HOUSEから鴨川へ歩きました。生茂る木々が見えたり、雨音や鳥の声がしたり、住民や観光客、釣り人とすれ違ったりしながら、移動していきます。

鴨川沿いを歩く

30分ほど歩いてからHAPS HOUSEへ戻り、まずはお散歩で感じたことを詩にしてみることに。「私は歩いてみた」からはじめて自由にことばをつなげる詩を書いてもらいました。

それぞれの詩を共有してから感想を聞きました。
日々ルーティン作業が多い職場では場所とやるべきことがかっちり結びついていて、動くことに慣れてしまっているけど、歩いている時間はここどこだっけ、誰だっけ、と迷子になることができたという人。しゃべらず一緒に歩くということに安心感を感じた人、慣れる時間が必要だった人、日常ではかなり頑張って人とコミュニケーションしようと喋っていたことに気づいた人、途中で見たこと聞いたこと思ったことを話したくなった人もいたようです。

詩を書くことを通じて、素直にことばにしたくなる、その感じを調えることができたと言われた方もいました。ことばの向こうにいるさまざまなことを感じ、思考している私に丁寧に触れることができるのが詩のことばなんだと改めて感じました。

ちなみに、このしゃべらずお散歩するというスタイルは、アメリカ・ハワイで移民や先住民など、多様なルーツをもつ人びとに向けたワークショップとして実施されている”Walking Meditation”を参考にしています。

次回は11月16日(土) 10:00~12:00@HAPS HOUSEです。
「素直につたえる」がテーマ。誰かとやりとりするときに相手を攻撃したり、逆に相手になびいたりせずに自分の感じることを伝える練習をロールプレイ形式で実施します。是非お越しください。

これまでの「朝の談話室 ことば で 調える」についての記事は下記からご覧いただけます。
読書会「会話をとめるとはどういうことか」
対話篇プラトンになる!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?